初心者おすすめフィルムカメラ RICOH XR 500 【京都の猫 撮影レビュー】

皆様 こんにちは。ナニワグループの猫写真担当 見崎でございます。

ところで皆様はご存知でしょうか? 令和4年(2022年)12月にリコーイメージング株式会社より「フィルムカメラプロジェクト」の開発発表がありました。

国内外でフィルムカメラへの関心が高まるなか、フィルム価格高騰、新品フィルムカメラの選択肢が少ないなど、新たに、フィルムを手軽にはじめるには厳しい状況があります。

今回の「フィルムカメラプロジェクト」は、PENTAXブランドで手動巻上げ機種であることが公式サイトより明らかになっています。

先月には、試作品の電撃展示など、フィルムファンには久々に元気づけられる企画です。

さて、PENTAXとRICOHは現在では1つの会社でカメラ事業を営んでいますが、フィルムカメラ全盛期では、普及価格帯フィルム一眼レフで良きライバル関係でありました。

リコーイメージング(PENTAX)のホームページではあまり大きく扱われていませんが、昭和50年代のリコーのカメラ事業を成長させた一眼レフ「XR 500」について、休日を利用して撮影した猫作例と共に紐解いてゆきましょう。

【リコー 一眼レフXRシリーズのはじまり】

リコー フィルム一眼レフの黎明期と言われている昭和30~40年代で、皆さまが思い出すリコーのカメラは何でしょうか?

大多数は、「リコーオートハーフ」もしくは、「リコーオートショット」というゼンマイ式自動巻上げ・セレン式自動露出計を採用したコンパクトカメラを思い出すでしょう。

当時、リコーの一眼レフは、海外市場を意識した機種を中心に存在していましたが、日本市場のニーズに十分に合致した製品とは言いにくいものでした。

昭和50年(1975年)に旭光学工業(ペンタックス)が、新しいマウント「Kマウント」を発表。

現在でも、「PENTAX K-3 III」で馴染みある長寿命マウントですが、旭光学工業は、ユニバーサルマウントとして、「Kマウント」を公開しました。

その頃、リコーは第一次オイルショック以後、世界経済が不安定になるなか、「Kマウント」をペンタックスと共通マウントとする事で一眼レフ市場の拡充を狙っていきます。

そこで昭和52年(1977年)に、マニュアル露出機「XR-1」・絞り優先機「XR-2」の中級機種で市場に進出します。

メーカー小売希望価格は、マニュアル露出機「XR-1」が67.000円(50/1.4付) 絞り優先機「XR-2」が75.000円(50/1.4付)でした。

「XR-1」「XR-2」は高性能で写真趣味層には評判が上々でしたが、ファミリー層・初心者にも受け入れられる普及価格帯の一眼レフとして、「XR 500」が昭和53年(1978年)に発売されることになります。

【キャッチフレーズは「サン・キュッ・パッ」】

まず、XR 500登場まもない頃の他社製品をメーカー希望小売価格の高い順にピックアップしてみましょう。

■ニコン FM 93,000円 (Ai50mm F1.4付)
■キヤノン AE-1 81,000円(FD50mm F1.4SSC付)
■オリンパス OM-1 MD 77,500円(50mm F1.4付)
■アサヒペンタックスMV-1 49,500円(50mm F2付)
■オリンパス OM-10 ブラック 40,000円(ボディのみ )


■コニカ C35AF 44,800円 (AF付コンパクトカメラ)
■フジ フラッシュフジカAF 44,800円 (AF付コンパクトカメラ)
■キヤノン AF35M (オートボーイ) 42,800円 (AF付コンパクトカメラ)
■ミノルタ ハイマチックAF 42,300円 (AF付コンパクトカメラ)

ニコンを筆頭にキヤノン・オリンパス・アサヒペンタックスの一眼レフが続きます。

昭和52年(1977年)に世界初オートフォーカス付コンパクトカメラ 「コニカC35AF」が発売されてから、普及価格帯の一眼レフのライバルに、コニカ・フジ・キヤノン・ミノルタなどのコンパクトカメラも加わる状況になります。

1950年代に「リコーフレックス」で「低価格・高性能」を二眼レフ市場に新風を生じ、1960年代には「リコーオートハーフ」で、コンパクトカメラ市場でも新風がユーザーに受け入れられました。
そして、XR 500は、メーカー希望小売価格39,800円を「サン・キュッ・パッ」のキャッチフレーズにして、有名芸能人を起用したテレビコマーシャルで繰り返し放送されました。

「サン・キュッ・パッ」のキャッチフレーズはカメラに興味のない層にも、脳裏に焼き付いたようで、往年の懐かしのテレビコマーシャル特集で、筆者は観た覚えがあります。

※リコー XR 500のテレビコマーシャルはYouTubeで観る事が可能です(リコー公式での掲載ではありません)


「39,800円」は、上記の一眼レフは当然、最新型のオートフォーカス付コンパクトカメラよりの低価格だったため、はじめての一眼レフとして、ファミリー層にも受け入れられました。

勿論、リコーのユーザー目線の製品ですから、標準レンズ50mm F2付で39,800円です!

【信頼の機械式シャッター】

昭和40年代中盤から昭和50年代初頭にかけて、「自動露出」が一眼レフカメラのトレンドになっていました。

ここで書いている自動露出とは、「絞り優先」もしくは「シャッター速度優先」のいずれかです。

今では当たり前の「プログラムオート」はもう数年後になります。

自動露出付きの一眼レフとなれば、シャッター幕の開閉(シャッター幕を走らせるタイミング)は電磁制御になるので、電源(電池)がなければ撮影が困難です。

XR 500は、機械式シャッターを採用しているので、星景写真で長時間バルブでも電池切れを気にする必要はありません。

特に、機械式シャッターでも、シャッター精度の狂いにくい「縦走り式シャッター」ですから、中古カメラで入手する場合でも安心感があります。

但し、シャッター速度の選択範囲が、最速1/500秒~1/8秒・バルブと狭いので、晴れの屋外で、ISO100ネガフィルムを使用するも、開放絞りF2やF1.4で構図を決めにくい場合があります。(減光フィルターを併用すれば解決します)
※余談※
ジャンクカメラコーナーで動作確認すれば判りますが、「縦走り式シャッター」のニコマートFTnでシャッター速度の大きな狂いは少ないです。

逆に、 「横走り式シャッター」のペンタックスSP・キャノンFTなどは、先幕と後幕のバランスが崩れて、1/1000秒・1/500秒の高速シャッター開閉不良の個体が多く見かけます。

■縦走り機械式シャッター・・・ニコンFM2・ニコマートFTn・コニカFTA・コンタックスS2・リコーXR-1など
■横走り機械式シャッター・・・ミノルタSR-1・ペンタックスS2・キヤノンフレックスRP・ペトリV6など

尚、XR-500には自動露出はないものの、追い針式の露出計は搭載しているので、撮影者がシャッターダイヤルと絞りリングの2点で調整することで、適正露出に合わせることは可能です。

【光学ファインダーで撮影することの喜び】

直近1年間(令和4年8月1日~令和5年7月31日)。で、各カメラメーカーより様々なレンズ交換型カメラが新製品として発売されています。

その中で、ペンタプリズムを搭載する一眼レフは、「ペンタックス KF」「ペンタックス K-3 Monochrome」の2機種のみでした。。。

被写体の息つかいや愛おしさをリアルに感じることができる特長が光学ファインダーにはあります。

光学ファインダーでは、露出や光源の色温度(ホワイトバランス)を撮影前に直接確認することができませんが、撮影結果がうまく決まられた瞬間の喜びは電子ビューファインダーに勝ります。
スクリーンマットには、様々な被写体のピント合わせに対応しやすい「斜めスプリットマイクロ型」を採用しています。

スクリーン中央部には、スプリットプリズムを45度に傾斜させてあるので、建築物などの水平線や垂直線のピント合わせが簡単にできます。

またスプリットプリズムの周りには、マイクロプリズムが埋め込まれているので、動物や食べ物など水平線や垂直線がない被写体のピント合わせに便利です。

【新製品のペンタックス交換レンズが楽しめます】

平成7年発売の「XR-10P」がリコーのフィルム一眼レフの最終機種となった結果、交換レンズ・アクセサリー類も平成12年頃にはカタログから消え、行きつけのカメラ店からリコーの一眼レフがディスプレイからポツポツ消えていった記憶が筆者にあります。
しかしながら、ペンタックスと共通マウント「Kマウント」を採用したおかげで、リコーのXRシリーズの一眼レフユーザーは、ペンタックスの現行交換レンズ(絞りリング付)を使用することができます

対応する主な現行品を紹介します。
■HD PENTAX-FA31mm F1.8 Limited
■HD PENTAX-FA43mm F1.9 Limited
■HD PENTAX-FA77mm F1.8 Limited
■smc PENTAX-D FA MACRO 50mm F2.8
■HD PENTAX-FA 35mm F2
■HD PENTAX-FA 50mm F1.4 ※令和5年6月新発売
■smc PENTAX-FA 50mm F1.4 Classic ※令和5年6月新発売

特に新製品「smc PENTAX-FA 50mm F1.4 Classic」はオールドレンズで撮影したような絞り開放では「虹色フレア」が発生するように、レンズ設計時にチューニングを施しています。

昭和50年代によく売れたsmc PENTAX-M 50mm F1.4/F1.7は中古市場の定番アイテムですが、レンズ内が曇っている個体が多いです。

新品のsmc PENTAX-FA 50mm F1.4などを使用したほうがシャープでクリアな写りを得られるでしょう。

【最後に】

筆者は猫撮影をライフワークにしておよそ28年

ブログの作例素材を用意するために京都市内へ向かっているとき、はじめての猫撮影の撮影機材が「RICOH XR 500」「RICOH XR RIKENON 50mm F2」だったことをに急に思い出しました。

久しぶりに体感する心地良いシャッター音と巻上げ操作音は、猫撮影している筆者だけでなく、まわりの写真好き日本人から外国人観光客まで虜にさせてしまいました。

昭和世代のおじさまは、「おっ? サン・キュッ・パッか? 結婚したときに買ったわ。懐かしいなあ」や、外国人観光客には、「GR SLR camera???」とマイナーな機種とは思えない関心ぶりでした。

ナニワグループでは、リコーのフィルムカメラ・デジタルカメラは勿論のこと、各カメラ・写真用品メーカーの製品を取り扱っています。

万が一、店頭でのお買い物が難しい遠方のお客様でも、お買い物が楽しめるよう、オンラインショップもございます。



是非とも、ナニワグループをよろしくお願いいたします。

■撮影協力:ハチさん・タクさん・ソラさん・クリちゃん他 (許可を得て撮影)
■使用レンズ:RICOH XR RIKENON 50mm F2
■使用フィルム:FUJIFLIM X-TRA400