こんにちは~。編集長 中村でございます。
本日ご紹介してまいりますのはこちら。
OM デジタルソリューションズ様よりデモ機お借りしましたM.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROです!!
こちらのレンズ、ユニークな性能でカメラグランプリ2023 レンズ賞を受賞しております。
使ってみてネイチャー分野での撮影全般で活躍できそうな可能性を感じましたので、そのあたりの使用感もお伝えしていければと思います!
【外観・機能を簡単に解説】
【作例とともに基本性能をチェック】
【テレコンバーターも装着可能!】
【最大撮影倍率8倍(換算)で撮影可能!】
【他マクロレンズラインナップと比較】
【ワーキングディスタンスを取れるのがメリット】
【昆虫撮影でもっとも威力を発揮!】
【マクロレンズの枠に囚われず活躍可能】
【外観・機能を簡単に解説】
まずは外観写真とともにスペックや機能をざっくり解説してまいりましょう。
全長136mm・重さ453gとOM SYSTEMのレンズとしては若干大きめのサイズ感ですが、それでも500g未満なので取り回しは非常に良いです。
防塵防滴性能はIP53とOM-1と同等。水辺の生き物などを撮影する際にも安心して使えます。
レンズ先端付近はマニュアルフォーカスクラッチ機構が内蔵されていますので、フォーカスリングを下にずらすだけですばやくAF/MFの切り替えが可能。
側面にフォーカスリミットスイッチ・IS(手振れ補正)切り替えスイッチ・機能割り当て可能なファンクションボタンが備えられています。
レンズ内手振れ補正機構とボディ内手振れ補正の協調で最大7段もの強力な補正が可能。
さらに、ブレを検知する加速度センサーをレンズ内に搭載することで、マクロレンズの大敵であるシフトブレの補正も強化されているとのこと。
実際に使ってみると、機材の軽さも相まってかなり「止まる」のが実感できます。すごい。
フォーカスリミットスイッチをS-MACROに設定すると、最短撮影距離0.224m・最大撮影倍率4倍(35mm換算)での撮影が可能になります!
さらに2倍テレコンバーター MC-20を装着した場合、撮影倍率がさらに2倍になって最大撮影倍率8倍(35mm換算)というすさまじいスペックに!
ただし、開放F値がF5スタート(MC-20装着時はF10スタート)となるのでその点はご注意を。
それではさっそく作例とともに使用感等々をお伝えしてまいりましょう。
※ちなみに今回の作例は虫の写真がチラホラ出てきます。苦手な方はちょっとご注意を!
【作例とともに基本性能をチェック】
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まずはテレコン無しで基本性能を見ていきましょう。
絞り開放で1枚。カリっと解像感がありシャープな写り! さすがPROレンズですね~。
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通常モードでひまわりを近接撮影してみました。
画質劣化もなく、非常にシャープな写り。当たり前ですがマクロレンズとしての性能はバッチリです!
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S-MACROモードの4倍マクロ撮影(換算)でギリギリまで寄って花の先にいるアリを撮ってみました。
風で花が揺れてしまってAFでのピント合わせは厳しかったので今回はマニュアルフォーカスクラッチでMFに切り替えて撮影しております。
被写体が動いていなければAFでのピント合わせもきっちりできますよ!
スーパーマクロ撮影ができるレンズはちらほら市場に出てきていますが、MFでしかピント合わせができないものが大半です。
その点、AFで超マクロ撮影ができるというのはこのM.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROのすごいところ!
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遠景気味の撮影ですが、絞り開放だと前景のひまわりにピントが合って後ろの木々がボケてしまいました……。
開放では周辺減光が若干目立ちますが、F8まで絞れば目立たなくなります。
絞り込まなくても描写が甘い感じはしませんが、セオリー通りに遠景撮影時は若干絞って使うのがベターでしょう。
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個人的には、被写体とほどほどに距離があるシーンがこのレンズの「切れ味」を実感しやすくて良いなと思います。
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スパッと背景分離されて被写体が浮き上がるような写りでいかにも「高解像」といった写りが味わえますね~。
点光源が写りこむとやや二線ボケが目立つ傾向がありますが、これも若干絞れば解消されます。
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マクロレンズなのであまり逆光耐性を気にする方はいないかもしれませんがいちおうテスト。
真逆光でもフレア・ゴーストの発生はわずか。実用に困難をきたすことはないでしょう。
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水辺に止まっているトンボを撮影。
AF駆動は高速かつ静音で、マクロレンズにしてはブリージングもだいぶ抑えられています。
ただし、いかんせん最短撮影距離が短いぶん、離れた被写体を撮ろうとしているのにピントが手前まで来すぎてしまって合焦が遅れることも……。
合焦範囲を遠景のみに限定するフォーカスリミッターはレンズ側の設定にはないため、予防のためには一部機種で設定可能なボディ側でのフォーカスリミッター機能を用いるしかありません。
ファンクションボタンなどに機能を割り当てて、すばやく設定を切り替えられるようにしておくことを推奨します。
【テレコンバーターも装着可能!】
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今回、MC-20も一緒にデモ機お借りいたしましたので装着時の使用感などもお伝えしてまいります!
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ちなみにミラーレス用レンズでテレコンバーターに対応しているマクロレンズは非常に少ないです。
ほかにはSIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art(Lマウント)やSONY FE 70-200mm F4 Macro G OSS IIなどぐらいでしょうか?
そういう点でもこちらのM.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROは貴重な存在ですね~。
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同じ位置からテレコン有り無しで比較画像を撮ってみました。逃げないで被写体になってくれたアオサギ君に感謝。
近づくと逃げてしまうような被写体(動物や鳥、昆虫など)を撮影する際に「あともうちょっと大きく写したい……」という場合はテレコンの恩恵が大きいですね!
【最大撮影倍率8倍(換算)で撮影可能!】
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手のひらサイズの小瓶に入ってますが、1粒あたり5~6mmほどの大きさですね。
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テレコン付き&S-MACROモードの換算8倍で撮影するとこんな感じ。
肉眼で見るとつるつるしてるように見えるクミンの表面ですが、スーパーマクロ撮影して見てみると意外とゴツゴツしているのが分かりますね~。
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こちらも台所にあった粗塩。結晶がきらきらしていて綺麗ですね~。
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OM SYSTEMのカメラはボディ内で「深度合成」ができる機能が備わっていますが……。
換算8倍スーパーマクロ撮影を行うと、ピントが合う範囲があまりにも狭すぎるため、今回はPCで合成加工を行いました。
なお、OM SYSTEMユーザー専用の無料画像編集ソフトOM Workspaceでも深度合成の加工は行えます。
有料の画像編集ソフトを使わなくともこういった合成処理ができるのはありがたいですね~。
【他マクロレンズラインナップと比較】
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・M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro
・M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
・M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO
「この3本、結局何が違うの??」という疑問を抱かれる方も多いかと思いますのでこちらも簡単に解説いたしますと……。
まず、サイズで言うと以下のような感じになっております。
重量 | 全長 | |
30mm F3.5 Macro | 128g | 60mm |
60mm F2.8 Macro | 185g | 82mm |
90mm F3.5 Macro | 453g | 136mm |
上の写真でもお分かりいただけると思いますが、M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROが他2本と比べてかなり大きめのサイズ感になりますね。
続いて最大撮影倍率の違いで言うと、90mm F3.5 MacroはS-MACROモードに切り替えることで最大撮影倍率4倍(換算)の撮影が可能!
M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macroは最大撮影倍率2.5倍(換算)であり、M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroの最大撮影倍率は2倍(換算)です。
また、90mm F3.5 Macro IS PROはこの3本の中で唯一テレコンバーターを装着できるレンズであるというところも大きな違い。
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さっきのクミンの例ですと、60mmマクロと90mmマクロ&2倍テレコンではこれくらい撮影範囲が変わってきます。
60mmマクロでも大抵のものは撮れるのですが、「もっと小さな被写体を! もっと大きく写したい!!」という方はこの90mm F3.5 Macro IS PROが必要になってくるでしょう。
とはいえ、上の写真はF11まで絞って撮影していますが、換算8倍でのスーパーマクロ撮影ではピントが合う範囲が極めて薄くなってしまうという点はご注意ください。
単に「大きく写したい」だけであれば、30mmマクロや60mmマクロでも三脚ハイレゾショット8000万画素で撮影してトリミングすれば十分な場合もあるでしょう。
【ワーキングディスタンスを取れるのがメリット】
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換算8倍の「最大火力」が必要なシーンはある程度限られるものの、焦点距離が長くて最大撮影倍率が高いことによる通常運用時の利便性は大きいです。
まず、先述の通り被写体との距離が少し離れていても大きく写せるのがこちらのレンズの長所になります。
ワーキングディスタンス(レンズ先端から被写体までの距離)を長く取れるので、近づくと逃げてしまう小さな生き物でも撮影しやすいのは大きな利点。
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こちらは苔の合間に生えていた小さいキノコを撮影したもの。90mm F3.5 Macro にMC-20を装着することで苔の群生地に踏み入ることなく撮影できました。
これは30mmマクロや60mmマクロではちょっと難しかっただろうなと思います。
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「苔」はネイチャーマクロの定番被写体ですが、苔が生えている場所では三脚を立てられる位置に制約がある場合があります。
そういう場合でも、少し引いた位置からクロースアップ撮影ができるのがM.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROの強みです。
【昆虫撮影でもっとも威力を発揮!】
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「被写体に近づかなくとも大きく写せる」というところで一番こちらのレンズを活かしやすいのは昆虫撮影ではないかと思います。
※ここから昆虫写真作例連発しますので苦手な方は薄目で見ながらスクロールしちゃってください!
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まずは飛んでいるミツバチ。
動きも素早いので普段まじまじと見る機会もないのですが、意外とモフモフしていてかわいい。
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ハチなので怖くてあんまり近寄れなかったのですが、距離をとって撮影してもかなり大きく写せました!
OM-1の卓越したAF性能とM.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROの高速かつ静音のAF駆動で非常にストレスフリーな撮影が楽しめます。
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葉の上にとまっているところを捉えました。
羽根の薄くて透明な質感もしっかり描写されています。すばらしい……。
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F8で撮影しましたがピント浅めです……。もうちょっと絞れば良かった……。
AF/AE固定にはなりますが120コマ/秒の超高速連写がOM-1では可能です。
ほんのわずかに被写体が動いただけでピントがずれてしまうマクロ撮影においては、「数うちゃ当たる」スタイルでめちゃくちゃ連写するのも一つの方法。
そういう場合、OM-1の連写性能は非常に心強い味方になってくれます。
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チョウトンボ。羽根が1枚折れてしまってかわいそう……。
羽根が青紫色できれいですね。もっと近寄って羽根だけクロースアップ撮影したかったのですが、池に阻まれてこれが精いっぱいでした……。
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ひまわりの花びらの上でちょこんと休んでいたクモ。
このレンズを使っていると、普段は気づかずに通り過ぎてしまうような小さな被写体にも意識が向いて撮りたくなってきますね。
【マクロレンズの枠に囚われず活躍可能】
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最大撮影倍率8倍(換算)が活きるシーンはかなり限られてきますが……。
高い描写性能・高速かつ静音のAF・ワーキングディスタンスを広めにとって撮影できる安心感などを得られるのでかなり便利なレンズであるのは間違いないと思います。
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マクロレンズにしてはブリージングも抑えられていますので、昆虫の生態を動画で撮りたい方などにもおすすめできるかもしれませんね。
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そのままでも換算180mm、MC-20を付ければ換算360mmになりますので、単純に望遠レンズとして使うのもアリでしょう。
レンズ本体重量453g、テレコンを付けても603gと望遠レンズにしては破格の軽さであるところも魅力です。
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このM.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROであれば、望遠レンズ枠とマクロレンズ枠を兼ねることができるのがよいところですね。
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少し試した感じですが、OM-1と組み合わせれば被写体認識AFによって動体撮影でもかなり快適に撮影できました!
ただし、繰り返しにはなりますが、ボディ側でのフォーカスリミッター設定はほぼ必須レベルになりますのでご注意ください。
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ナニワグループオンラインでお取り扱いのほか、たま~に中古品も入ってきてはいますのでぜひともご検討ください~。
それでは今回も長くなりましたがお付き合いありがとうございました!
また次回のブログでお会いしましょう~!!
【おまけ】
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