Nikon Z 30 & NIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VR【触るとわかる、使いやすさ】

こんにちは~。編集長 中村です。

今回はコイツをご紹介して参りたいと思います。Nikon Z 30 & NIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VRです!

動画向け機種であるZ 30に、動画撮影時の操作性に優れたパワーズームレンズがキットとなって10月27日に発売されました!

超絶話題の新製品・Z fと同日発売のためちょっと影が薄いですが……。

こちら、毎度のごとくニコンさんからデモ機をお借りしてたっぷり堪能させていただきましたので、使用感をレビューさせていただきたいと思います~。

■目次
【Z 30のスペックを軽くおさらい】
【PZレンズキットが登場!】
【作例とともに使用感をチェック】
【VLOG動画作例も用意しました】
【あらためて使用感まとめ】
【どのレンズを選んだら良い?】
【派手さはないが堅実に使いやすい1台】

【Z 30のスペックを軽くおさらい】

それではまず、ZシリーズミラーレスのなかでのZ 30の立ち位置から確認していきましょう。

過去に軽くだけまとめていますが、こちらご覧になられた方も「おさらい」でお付き合いいただければと思います。



まず、こちらのZ 30はZシリーズ最小・最軽量の機種で重さは約405g

そのかわり、EVFはついておりません。

バリアングルモニター採用・タリーランプ搭載など動画撮影を強く意識したモデルとなっており、ZシリーズAPS-C機の中では録画時間の30分制限が唯一かかっていないというのも特徴です。
イメージセンサーはZ 50などと同じく2088万画素

今どきの水準からすると少し控えめな数字には聞こえるかもしれませんが……。

昨今のスマートフォンの大半ですら4Kの画面解像度である3840×2160(約830万画素)をカバーできていないことを考えると、「普段使い」の機種としては十分なのではないかと思います。
なお、内蔵マイク用ウインドファートライポッドグリップなどのアクセサリー(別売り)も充実しています。

ナウなヤングにバカウケの「VLOG撮影向けカメラ」スタイルってやつですね。

動画性能に関しては4K 30pまでノンクロップで記録可能。

某S社のVLOG撮影向けカメラは4K 30p撮影時にクロップがかかりますが、こちらのZ 30はそのようなことはありません。

まぁ向こうはボディ内手振れ補正機構が入っていますが、Z 30はレンズ側での手振れ補正のみになりますので一概にどちらが優れているかは決められませんが。

【PZレンズキットが登場!】

さて、こちらのZ 30に新しくキットレンズのラインナップが追加されました。

今年2023年5月に発売されたNIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VRです!

重量約205gで、Z 30のボディとあわせても約610gしかないのは本当に驚くべき軽さですね~。

画角としても広角端が換算18mm・望遠端が換算42mmと適度に幅があっていろいろなシーンで使いやすいのが魅力。

パワーズーム(電動ズーム)を採用しており、滑らかで均一な速度のズーミングができるため動画撮影時に便利な1本となっております。
この電動ズームはボディ側からでも操作可能で、背面の拡大/縮小ボタンおよびマウント根元のFn1・Fn2ボタンでズームイン・ズームアウトが可能になっています。

カメラ・レンズが軽いため、ズーミングも含めて片手ですべて操作できてスチル撮影でも非常に使い勝手が良いです。

いい感じにZ 30とマッチした組み合わせとなっていますね~。

【作例とともに使用感をチェック】

絞り:F4 SS:1000 ISO:100

ではまずは作例写真とともにスチルでの使用感を詳しくお伝えしていきましょう。

NIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VRの広角端は12mm(換算約18mm)と非常に画角が広くなっていますので、旅先の風景などを撮影する際にも、空間を広くダイナミックに切り取ることができます。

機材の軽さも相まって「トラベルカメラ」として非常に高いポテンシャルがありますね!
絞り:F5.6 SS:640 ISO:800

こちらは広角端12mmで撮影していますが、歪曲収差も目立たない程度によく補正されています。

建物を撮ったりするのにも十分使えますね。
絞り:F5.3 SS:200 ISO:100

一方で望遠端は28mm(換算約42mm)とスナップなどでも使いやすい画角となっております。

絞り開放でもF5.6からになるのでボケを作りづらくはありますが……。
絞り:F5.3 SS:200 ISO:100

ある程度寄って撮ればこれぐらいにはボケます。

最大撮影倍率は0.21倍、最短撮影距離はズーム全域で0.19m近接撮影も得意ですので、ボケが欲しいときはどんどん寄っていきましょう。
絞り:F5.6 SS:200 ISO:800

寄りやすく、テーブルフォトにも使いやすいのは良いところ。

飲み終わった後のエスプレッソを撮ってみた。

飲む前に撮るべきだった。
絞り:F5.6 SS:200 ISO:800

木漏れ日を撮ってフリンジの発生ぐあいをチェック。

わずかに色づきは見られますが、十分きれいに抑えられていますね!
絞り:F5.6 SS:100 ISO:800

続いて逆光性能をチェック。

思いっきりフレームに太陽を入れているため多少フレアが目立ちますが、実用上困るほどではないでしょう。
絞り:F5.6 SS:100 ISO:800 トリミングあり

AF速度・精度もふつうに使ってて困らないレベルです。

動画撮影を意識したレンズということもあり、当然ながら駆動は静音かつブリージングも抑えられていますね。

このように全体的に手堅くまとまったいい感じのレンズとなっています。

【VLOG動画作例も用意しました】

動画機に動画用レンズが付いてるキットをレビューするのに動画作例がないなんてことある??

いや、そんなことは許されんやろ!! ということで血反吐を吐きながら撮ったVLOG作例がこちらでございます。


すごく甘めに見積もって30点」くらいのクオリティではありますが、まぁそもそもVLOGって気軽に撮るものだと思うので……。

音楽はフリー音源だとなかなか限界があったので、Artlistを年間契約して利用しています。

30点のうち25点ぐらいはArtlistの音楽のおかげです。

本当にありがとう、Artlist……。Creative Picture Control「ドリーム」で撮影した素材を使っていますが、編集時にカラーコレクション・カラーグレーディングの作業は特に行っておりません。

4K 24pで撮影し、フルハイビジョンで書き出ししております。環境音は内蔵マイクでの録音です。ISOオートで撮影していたため後半のカットはISO1600~3200ぐらいで撮っていますが、撮影後にPCで見てみても意外とノイズが気になりませんでした。

最近ではわたくしDaVinci Resolveを有償版に切り替えたのでノイズリダクションもかけられるようになっているのですが、今回は使用していません。
ちなみにここのタイムラプス撮影、トライポットグリップで手すりにカメラを添わせて撮影しています。

タイムラプスは簡単に印象的なカットが撮れますし、カメラ固定で撮っておけばいいので誰でも撮りやすいのが魅力ですね。

そしてこのタイムラプス撮影も地味に某S社のVLOG撮影向けカメラには入っていない機能になります。
VLOGってたいてい「○○ルーティーン」ってついてる雑なイメージがあったので「カメラ屋店員のサボりルーティーン」というふざけたタイトルにしていますが……。

当然ながら動画素人のわたくしからすると、このしょーもない動画1本仕上げるだけでも途方もない負担です。

なので何が言いたいかというと、タイトルは「サボりルーティーン」って言ってるけどサボってないですということ。

マジで。

【あらためて使用感まとめ】

さて、静止画・動画ともに作例お見せしましたので、それをふまえてあらためて使用感をまとめていきたいと思います。

画素数こそ2088万画素と控えめながら、小型軽量で取り回しがよくて普段使いにはかなり便利なカメラだなと思います。

NIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VRも片手でパワーズーム操作ができるので、コンデジ感覚で気軽に撮影できます。
コンデジにしては重いんじゃない?」というお声もあるでしょうが、グリップがめちゃくちゃ握りやすいので使っていてぜんぜん疲れないです。

片手だけで操作するときなどは本当にグリップの握りやすさに助けられますね。

そういう点でも普段使いや旅先での記録などに向いていると思います。
トライポッドグリップもリモコンを分離できるので集合写真なども撮りやすいでしょう。

ただし、本体の電源を切ったりスリーブモードに入ったりするとリモコンの電源も落ちてしまうので、都度接続するのが若干めんどくさかったりする。
ちなみにこの前のPAF2023大阪会場でのイルコさんとのツーショット写真は、Z 30にトライポッドグリップを装着して撮影しました。

こういう時などはやはり便利です。
前回の十日戎での撮影のブログでも少し言及しておりますが、静止画と動画をレバーひとつで切り替えられるのもGoodです。

Nikon Zシリーズ共通のUIですが、これのおかげで気軽に動画が撮れます。

ただし、静止画撮影時にAモードで撮影していたら、動画撮影に切り替えてたときにAモードのままなのは少し面倒ですね。

動画撮影時はシャッタースピード固定で撮るのがセオリーですが、Z 30はシャッタースピード優先で動画を撮ることができません

なので必然的に動画撮影時はMモードにせざるを得ません。

静止画撮影時もMモードにしておいてISOオートで調整、というような使い方だと楽かもしれませんね。
次に端子まわりのお話。

今どき当然ではありますが、USB Type-C端子で給電が可能です。

使用するバッテリーが小型のEN-EL25のため、そのままでの稼働時間は若干心許ないところはありますが……。

スマホ用のモバイルバッテリーなどから給電できるので、交換バッテリーをいっぱい持ち歩かずに済むのは楽です。

また、HDMI端子(Type D)から外部モニターなどへの出力も可能。

小型・軽量というZ 30の利点を活かせなくなるのでわざわざ外部モニターを付ける方はあまり多くないかもしれませんが……。

撮った動画素材をしっかりカラーコレクション・カラーグレーディングしたいという方は、ATOMOS NINJA Vなどを接続してApple ProResなどのフォーマットで動画収録することもできます。
次に音まわりについて。

前述の通り、今回の動画作例は内蔵マイクで音声を収録していますが、環境音程度なら外付けマイクなしでまったく問題ないです

いろいろなところでテストもしましたが、ウインドファーを装着しておけば風切り音もかなりカットできるので便利ですね。

※ダメ押しですが、このウインドファーは別売りのアクセサリーで本体同梱品ではないのでご注意を!(Z 30発売直後は購入者向けキャンペーンで無料配布されていましたが)

ウインドファーにコールドシューが付いているので、これをつけてもアクセサリーを装着する箇所が潰れないのも地味にポイント高いです。

ただし、内蔵マイクは全指向性で後ろの音なども拾ってしまうため、人の声などを録る時は別途専用のマイクがあったほうがいいでしょう。

そのうえ、Z 30はマイク端子がないため、音をモニタリングしながら動画を撮ることができないという欠点もあります。

まぁ屋外での撮影時はRODE Wireless GO IIなどのワイヤレスマイクを接続して声を撮る方が多いでしょうし、そちらでモニタリングすればいいだけの話ですが。
Creative Picture Controlですが、20種類ものフィルターが選べますのでこれだけでもいろいろと遊べます。

特に今回の動画作例で使った「ドリーム」は暖色寄りでコントラスト低めの色合いになるのがけっこう気に入りました。

静止画でも動画でも、ハイライト(写真の明るい部分)重視で露出を合わせるとシャドウ(写真の暗い部分)が思いっきり暗くなってしまうことが多々ありますが……。

この「ドリーム」にしておくとシャドウをかなり持ち上げて見やすい画にしてくれるのでだいぶ便利でした!

【どのレンズを選んだら良い?】

ちなみに今回はZ 30&NIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VRのキットをご紹介する記事ですが、「Z 30にはこの12-28の組み合わせ一択!」というわけではないのでその点についてもちょっと解説。

一例としてNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRNIKKOR Z DX 24mm f/1.7を比較対象にしてみましょう。
まず、発売当初にキットレンズとなっていたNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR ですが、望遠端が換算約75mmと比較的伸びるのが便利です。

NIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VRは換算約42mmまでしか伸びないので、ポートレート・人物撮影などに使うのは若干厳しいところがあります。

また、上の並べて撮った写真を見ていただいたら分かるように、沈胴式の16-50は12-28 PZの半分近いサイズに収まっているというところも見逃せません。

重量としては、16-50が約135gで12-28 PZが約205gなのでそこまで差はありませんが……。

とはいえ、「自撮りは焦点距離20mmが理想的」とよく言われますので、広角端が換算約24mmの16-50では自撮りするのにちょっと苦労するかもしれません。

また、12-28 PZはトライポッドグリップのリモコンでパワーズーム操作もできます

トライポッドグリップを付けて自撮りや集合写真などを撮りたい方からすると、12-28 PZのほうが使いやすいのではないかと思います。
続いて、今年の6月に発売された単焦点レンズ・NIKKOR Z DX 24mm f/1.7とも少し比較してみましょう。

こちらのNIKKOR Z DX 24mm f/1.7は開放F値が1.7と明るいレンズのため、ボケを作りやすいのが大きなメリットです。

先述のとおり、12-28 PZは開放F値が暗いためなかなかボケを作れません。

いかにも「カメラで撮った写真」感じのボケを活かした写真を撮りたい場合、この24mm単焦点レンズのほうが適しているでしょう。

重量は約135gと軽量、12-28 PZとサイズもほぼ同じくらい

Z 30をレンズキットではなくボディ単体で購入し、このNIKKOR Z DX 24mm f/1.7を合わせるというのも良い組み合わせでしょう。

デメリットとしては、このレンズは単焦点なのでズームができない点。

いろいろな画角に対応しなければならないシーンにはあまり向かないというのと、動画撮影時にズームでカメラワークを作ることもできません。

また、焦点距離が換算約35mmなので、トライポッドグリップに装着して自撮りや集合写真を撮るのはほぼ無理です。

こちらもご自身の用途に合わせた組み合わせを選んでいただければと思います。

【派手さはないが堅実に使いやすい1台】

他社先行の「VLOG撮影向け」というコンセプトを追いかけるようなプロモーションが前面に押し出されているため、「Z 30って実際どうなん?」と思っている方が多いようで……。

デモ機をお借りしている期間、いろいろなところで「どうなん?」と聞かれたのですが、「ふつうに使いやすくていいっすよ」と答えていました。
使い勝手としてはコンデジとビデオカメラを合体させたような感じですかね。

EVFがないぶんカバンに入れても邪魔になりにくいですし、普段使いの1台としてなかなか重宝するのではないかと。
ズーミングも含めて片手で完結できる手軽さ、グリップの握りやすさなどカタログスペック外のところが魅力だなと思いますので……。

スッと出してサッと撮れるカメラをお探しの方は、ぜひこのZ 30 & NIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VRをご検討いただければと!



ナニワグループオンラインでももちろんお取り扱いございます。

ボディ・レンズともに中古品もございますのでこちらもご検討いただければ幸いです~!

それでは今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

また次回のブログでお会いしましょう~。

【おまけ】

ボツ素材です。万博記念公園のコスモス畑にて。

ZOOMのM3 MicTrakを付けて撮っているので若干環境音が控えめです。。

こちらのM3 MicTrak、ショットガンマイクの音質もいいし32bitフロート音源も撮れる、なおかつ安いというなかなかのスグレモノ。

ヘッドホン端子もあるのでZ 30の欠点も補えますしマジおすすめです。

まぁ在庫僅少でなかなか買えないところが難点ですが……。