皆さま こんにちは。 ナニワグループ 猫写真担当 見﨑でございます。
ミラーレスカメラユーザーで最も多数を占めるブランドと言えば、ソニー「α」シリーズです。
キヤノン 「R」シリーズ・ニコン「Z」シリーズは登場してまだ5年を過ぎたばかりで、総出荷台数を上回るのは、まだまだ先なのか、それとも、そのままソニー「α」が1位を独走できるのか、カメラファンとして、興味があります。
ミラーレスカメラをお買い物する際、メーカーのホームページやデジカメ情報サイトなどで検討されるでしょうが、ソニー「α」シリーズの第1号機についてご存知でしょうか?
ソニー「α」に関する検索は、最近では「α7C R」「α7C II」あるいは、近日発売の「α9 III」に関する情報が溢れています。
ソニー「α」シリーズは華やかな印象がありますが、登場時には、シェアも低く、販売につなげる苦労もあったようです。
それでは、筆者の休日を利用して、ブログ用に準備した京都の猫写真を交えながらご紹介してゆきましょう。
【SONY デジタル一眼レフの朝まだき】
2000年代前期のソニーのデジタルイメージング事業は、既成概念にとらわれない機能を特長としたデジタルコンパクトカメラ”サイバーショット”シリーズを主軸に成長していました。
2005年7月に、コニカミノルタフォトイメージングとデジタル一眼レフカメラについて、共同開発を発表。
コニカミノルタは、オートフォーカス機構・シャッターユニット・ミラーボックスなどのメカニカル機能、またデジタル一眼レフでは当時唯一のボディ内手振れ補正機構を実現しており、カメラの機構的な部分を製造する高い技術を有していました。
一方でソニーは、イメージセンサーの製造・デジタル時代に相応しい画像処理・性能の安定したリチウムバッテリーなどの技術を持っており、それぞれの強みを生かして「αマウントに準ずるデジタル一眼レフカメラ」の商品化を目指す旨の内容でした。
当時、筆者は限定値下げ商品のPENTAX「*ist DS」を購入したばかりで、製品の付加価値が高いコニカミノルタ・ソニー連合に憧れと期待を持っていたことを思い出します。
プレス発表では、具体的な製品の発売時期の公表はなく、あくまでもコニカミノルタイメージングとソニーの共同開発に話し合ってゆく段階でした。
【コニカミノルタαシリーズの幕引き】
2006年1月19日 事態は急変します。 コニカミノルタは、2006年3月31日でカメラ事業及びフォト事業を終了する報道が流れます。
カメラ事業のうち、デジタル一眼レフカメラに関する開発・設計・製造技術に必要となる一部の資産をソニーへ譲渡する事、ソニーよりコニカミノルタと互換性のある「αマウントに準ずるデジタル一眼レフカメラを2006年夏発売目標」も発表されました。
また、カメラ事業の技術者は、ソニーを中心にパナソニックなどへ転職してゆきました。
パナソニックへ移籍された方々の中には、ミラーレスカメラ1号機「LUMIX G1」や「LUMIX GH3」の開発に携わった方もいました。
筆者が報道発表の日を覚えている理由は、あるエピソードがあるからです。
かつて筆者はカメラ業界でなく異業種で勤務しており、職場の写真好きな先輩 国鉄新幹線総局大阪運転所出身のAさんにミノルタのフィルム一眼レフ「α-7」「α-Sweet II」を続けて購入してもらって間もない頃でした。
当時、お昼のNHKニュースでの報道に大慌てで心配するAさんを必死にフォローしつつ、筆者自身もどうなるか見当がつかない状況だったので覚えています。
【ソニー レンズ交換型カメラのブランドが決まる】
デジタル一眼レフ事業をソニーが引き継ぐ報道は上記の通りですが、その時点ではソニーでのブランド名は明示されていませんでした。
2006年4月20日 レンズ交換型カメラ及び関連する交換レンズなどの関連製品のブランド名を【α】に決定するプレス発表がされました。
【α】のブランドには、ギリシア文字の1文字目で「始まり」、また「最重要」という意味を持ち合わせ、ソニーが新たにレンズ交換型カメラ事業に参入する意志とコニカミノルタがAFフィルム一眼レフ【α7000】から培ってきた「αマウントシステム」に対する信頼感を表現しています。
コニカミノルタの「αマウントシステム」で2006年頃の現役機材といえば、「α-7」は勿論、「α707si」「α Sweet」 などのヒット製品、古い機種では「α7700i」「α5700i」などのα第二世代の愛用者も筆者の鉄道職場によく見かけました。
全世界で1600万本に及ぶレンズ資産を持つ「αマウントシステム」は、ソニーが後発のカメラメーカーとしては、救いの手になったに違いないでしょう。
【ソニーα100 いよいよ登場】
2006年7月21日 ソニー初レンズ交換型カメラ「α100」と交換レンズ群が発売。
ボディーカラーはブラックとシルバーで、マウント外周にオレンジがかったαのブランドカラー「シナバー」のラインが入っているのが外観上の特長です。
交換レンズにはコニカミノルタ時代から円形絞りで評判の高い「Gレンズ」及び、ソニーとカールツァイスで共同開発した「カール ツァイスレンズ」などが同年7月以降、順次登場してゆきました。
ソニーでも引き続き製品化された特長の強い交換レンズとして、周辺部のボケが薄くスムースなボケ味を実現したスムース・トランス・フォーカス(STF)レンズ「135mm F2.8 [T4.5] STF(SAL135F28)」や、ミラー(鏡面)の反射作用を応用した唯一のオートフォーカス付反射望遠レンズ「500mm F8 Reflex(SAL500F80)」があります。
発売初日は、各所の家電量販店では、α100新発売イベントが実施されましたが、当時を知るソニーコンスーマーセールスの営業担当に聞くと、「旧コニカミノルタ色の強い新製品で、ソニーらしさを今後、期待したい」とすぐに購入に繋げるのは厳しかったと回想していました。
【扱いやすいダイヤルとボタンの操作系】
使用説明書を読まなくても、直感的に設定できるダイヤルとボタン類を配置しています。
シーンセレクトやPASMの切り替えが簡単にできる「モードダイヤル」は各カメラメーカーでも採用していますが、ホワイトバランス・AFモード・測光モードなど使用頻度の
多い機能も「ファンクションダイヤル」に搭載させるなど、当時のデジタル一眼レフでは最高レベルを達成しています。
わかりやすい操作性は、シンプルながらも使いやすさを追求したミノルタAF第三世代 「α707si」「α507si」を彷彿させてくれます。
【ピントの山が判りやすい光学ファインダー】
現在のαシリーズは、α9IIIやα7CRなど全てミラーレスカメラで統一されています。
マニュアルフォーカスでピント調整をするときは、「フォーカスピーキング」や「ピント拡大」で確実に追い込んでゆきますが、α100登場時のレンズ交換型カメラは、ミラーレスカメラは存在せず、光学ファインダーでのピント調整が必須条件でした。
α100のファインダーには、ミノルタ「α-7」や「α-807si」などで評判の高かった「スフェリカルアキュートマット」を採用しています。
マクロ撮影など、マニュアルフォーカスでのピント合わせは、筆者の比較では競合製品「Nikon D80」「Canon EOS 30D」より勝っています。
【全国主要都市で「αクリニック」の開催】
α100発売の6か月後には、札幌・東京・大阪・福岡ほか3拠点にて、歴代のαシリーズ一眼レフカメラ及びαシリーズの交換レンズを無償点検してくれる「αクリニック」が開催されました。
ソニーαに限らず、コニカミノルタα・ミノルタのAFフィルム一眼レフのαシリーズも
受付対象にしていたため、α100にお客様所有のレンズで試せる貴重な機会だったことのあり、徐々に口コミで高評判が広まっていくきっかけになりました。
【ソニーαは、AマウントからEマウントへ】
α100発売以後、APS-Cサイズのならず、ソニー・コニカミノルタ史上で最高の光学ファインダーを有するフルサイズ一眼レフα900も登場。
2010年以降、Aマウントの新製品は、ソニー独自の透過ミラーを採用した「トランスルーセントミラー・テクノロジー」をすべての機種に搭載。
被写体を狙った瞬間のAFの食いつきと、捉えて離さない追随性を極限まで高めた、かつてないAFシステムのおかげで、ニコン、キヤノンのデジタル一眼レフに匹敵するレベルに達しました。
しかしながら、2013年にフルサイズミラーレスカメラ「α7」登場以後、デジタル一眼レフより機動性の高い大きさ・重さ・操作性に、消費者はEマウントへ関心が向かいます。
2022年にソニーAマウントの交換レンズ31種類とテレコンバータ-2種類の出荷が完了。 1985年2月に始まったAマウントは37年で終了となります。
ソニー・ミノルタ・コニカミノルタのAマウントは、中古カメラ店では、今でも定番の商品としては豊富に揃っています。
ソニー純正マウントアダプター「LA-EA5」「LA-EA4」などを使用すれば、AマウントレンズをEマウントミラーレスカメラで蘇らせることも可能です。
製品カタログやメーカーホームページで調べることが難しいミノルタαシリーズも、カメラのナニワ・レモン社・タカチホカメラの店舗スタッフにお尋ねください。
旧式のデジタル一眼レフからフィルムカメラでも、ご案内いたします。
■登場してくれた猫さんたち
ツキちゃん・ソラさん・ラブさん・タマちゃん・ハチさん・タクさん
■使用レンズ
ミノルタ AF マクロ 50mm F2.8
■撮影モード
プログラム優先(プログラムシフト併用) ISO感度オート