こんにちは、名古屋栄店加藤です。
現在、デジタルカメラのセンサーといえばCMOSが主流なんですが、デジタルカメラの変遷を語るうえで欠かせないのがCCDというセンサーです。
どちらもレンズから入ってくる光をデジタル信号に変換するという点では同じものと言えるのですが、変換方式の違いから特徴があります。
CCDセンサーはCMOSセンサーと違って受光部で同時に露光する為、歪みがほとんどなくります。つまりシステム上ローリングシャッター歪みがないことになります。
また、CCDセンサーは全画素に対して、アンプが一つなのでパターンノイズが避けられる、ざらつきの少ない写真が撮れます。
一方でCMOSセンサーは1画素ごとにアンプがついているので、その個体差によってノイズが発生しやすく、かつては「画質面ではCCDが有利」と言われていました。
しかし、現在ではその欠点も克服されてCMOSセンサーが主流となっています。
さて、今回ご紹介するカメラはFUJIFILM Finepix S2 Proです。
その名前のとおりフジフイルムのカメラで、ニコンF80をベースにフジフイルムがデジタル化した、ニコン・フジの合作とも言えるデジタルカメラです。
2002年の発売ですから実に20年以上前の製品です。
マウントはニコンFマウントで、D・GタイプAFニッコールレンズだとフル機能が使えます。
バッテリーはCR123A2本と単三電池4本で、単三電池だけでも動くので急な電池切れにも対応しやすいのがメリットです。
ただし、あくまで緊急用なので作動時間は短いです。
またCR123Aが入っていないとフラッシュが点かないので要注意です。
撮像素子はスーパーハニカムCCDを搭載した当時としては高性能な機種でありました。
因みにスーパーハニカムCCDというのは、八角形のハニカム構造を利用したイメージセンサーでセンサーが斜めに配置されていて、これによって集光面積が増えて、高感度・低ノイズ・高ダイナミックレンジが得られるらしいです。
センサーサイズはAPS-Cセンサーとほぼ同じ大きさで、焦点距離はフルサイズ換算で約1.5倍になります。
あたしの持ってる個体だとISO800くらいまでは、ノイズが気にならない感じです。
とはいってもほとんどISO100固定で撮っています。
20年前のカメラと考えると、かなり性能は良いかなと思います。
記録メディアはスマートメディアが2Gまで、マイクロドライブが1Gまで対応していて、スマートメディアの方が大きな容量を使えます。
使用レンズはニコン AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
DXフォーマット用のレンズですのでAPS-Cセンサーサイズのイメージサークルになるので、ほぼAPS-Cセンサーと同サイズのS2 PROにはちょうどいい単焦点です。
最短撮影距離0.163mなので、約16cmですね。
それでは作例をお見せしていきます。
Pモード 1/4000 F5.6 ISO100
Mモード 1/200 F11 ISO100
Pモード 1/1500 F9 ISO100
Pモード 1/500 F2.8 ISO100
撮影してみた感想なんですが、CCDセンサーのおかげで、歪みのない低ノイズな写りをします。
あと色味が濃い目だなぁというのが第一印象で、解像力も個人的には充分満足できるレベルですが、解像力に関してはニッコールレンズの性能によるところが大きいのかなと思います。
色味も濃いとは言いましたが、嫌味な濃さではなく、なんというかポジフィルムのPROVIAのような発色です。
特に青空の発色がお気に入りで、この色が見たいためにわざわざ空が入る構図にして撮影しています笑。
Mモード 1/1500 F8 ISO100
露出を変えることで、ネガフィルムのような風合いも出ますので、色々試してみるのも楽しいですよ。
Mモード 1/125 F8 ISO100
Mモード 1/320 F5.6 ISO100
Pモード 1/400 F5.6 ISO100
この3枚は特にネガっぽい発色だと感じました。露出によって色味が変わる印象です。
Mモード 1/8 F8 ISO100
上2枚はHOLGA HL-Nで撮影したもので、プラスチックレンズで「写ルンです」みたいな写りをします。
HOLGAのレンズはF8固定で焦点距離60mm(35mm換算90mm)なので、被写体に寄って切り取るような構図に向いていると感じました。
S2 Proの撮影画像書き出し速度は少しおっとりしていますが、最高画質でなければ単写で撮影する分には全く気にならない速度です。
ファインダーはやや暗めな印象で、屋内なんかだとMFでピントの山が分かりづらい時があります(加齢による衰えかもしれませんが笑)。
AF性能はスナップには充分なもので、カメラ任せにフォーカスして気持ちよく撮影出来ました。
なんといっても良かったのは、ノイズの少なさ・発色の良さで、個人的には最新のデジタルカメラと比べても色味だけなら勝っているのではないかと感じています。
最高画質で撮影枚数が1Gあたり29枚なのも、フィルム機を使っているような緊張感があって楽しいですよ。
昔から、CMOSよりCCDの方が画質がいいという話しは聞いていたのですが、今回初めて使ってみて、こんなによく写るのかと驚いた次第です。
写りもデジタルというよりは、アナログな写りをしてくれる印象なのでフィルムライクな写りを目指すのであれば、CCDセンサー機を探してみるのもいいですよ。