皆さま こんにちは。 ナニワグループ 猫写真担当 見崎です。
近ごろ、ニコンの映像事業において、業績回復という記事をよく目に止まります。
カメラに精通していない層でも、【Zf】【Zfc】でフィルム一眼レフ【FM2】を意識したデザインを採用したカメラメーカーとして、ニコンを認知されていると思います。
ところで、「株式会社ニコン」という社名に変更されたのは、36年前に遡りますが、平成生まれの方だと、前社名や社名変更の経緯を知らないことでしょう。
それでは、現社名に変更後、第1号の新製品に選ばれた名機【F-801】について、筆者がブログ用に撮影した猫写真と共に、ご紹介してゆきましょう。
【F-801の発売は昭和63年】
【Nikon】というブランドは、カメラのみならず、各分野において世界的に浸透と信頼があったため、国際企業に相応しい社名として変更された経緯があります。
社名変更後初の新製品ということもあり、新生ニコンが目指す「自動化・多機能化・高品質化」を大きく追及した製品となっています。
発売当初のメーカー希望小売価格は104,000円でした。(消費税3%は1989年より開始)
前年の1987(昭和62)年には、旭光学工業(ペンタックス)からも、AF一眼レフ【SFX】が加わったことで、AF一眼レフカメラの4大メーカー【キヤノン】【ニコン】【ミノルタ】【ペンタックス】が出そろいます。
●ペンタックス SFX
●ミノルタ α7700i
●キヤノン EOS620・EOS650
●ニコン F-801・F-401 (F4は昭和63年12月発売)
●京セラ SAMURAI
特に、ミノルタα第2世代に当てはまる【α7700i】が、【F-801】発売直前の昭和63年5月に登場しています。
【α7700i】は、AF3点測距・AF予測駆動で、他社の追従を負けないようにスペックアップをしています。
【操作系の変更】
オートフォーカス一眼レフα7000登場から3年をむかえ、各カメラメーカーの操作性は「ボタン」「レバー」での切り替え&「LCD表示」での確認が主流のなか、ニコンもF-801で高機能一眼レフに相応しい操作性を採用します。
軍幹部の左肩に「MODE」「ISO」「DRIVE」「ME/R(多重露光・巻き戻しボタン)」がすぐに呼び出せる【四つ葉ボタン】を配置。
なお、MODE切り替えと言えば、「P」「S」「A」「M」の4種類のみと思い込んでしまいますが、F-801は3種類のPモードを備えています。
通常のプログラム優先「P」 高速シャッター寄りに設定される高速プログラム露出「PH」、 焦点距離135mm以上で撮影時に手ブレを抑える範囲で高速側のシャッター速度に設定するデュアルプログラム露出「PD」の高機能を実現。
当時、MF一眼レフ【F3】【F2フォトミック】でマニュアル露出を当然のように使っていたプロカメラマンが、多機能なプログラム露出を積極的に愛用したか、不明です。。。
なお、高速プログラム露出「PH」については、135mm未満のレンズを装着時は通常のプログラム露出と変わらないと、日本工学工業出身の修理技術者より教えてもらいました。
自然と親指で操作が可能で、ファインダーを覗いたままでも、シャッター速度の変更ができるようになりました。
現在のデジタル一眼レフ・ミラーレスカメラでは当然の「コマンドダイヤル」ですが、昭和63年当時は競合製品にはありませんでした。
※キヤノン EOS620・EOS650は、レリーズボタンの前にあるダイヤルは「メイン電子ダイヤル」でレリーズボタンから人差し指を離す必要があります。
【世界初 最速1/8000秒対応のシャッター機構を搭載】
シャッター幕の製造には、コパル(現在:ニデックプレシジョン株式会社)が関わっています。
以後のニコン製のフラッグシップ・ハイアマチュア層向け一眼レフカメラでは、最速1/8000秒の時代がしばらく続きます。
しかし、1999(平成11)年発売のデジタル一眼レフ【D1】で最速1/16000秒・シンクロ速度1/500秒へ飛躍してゆくことになります。
また、測光モードとして、逆光時でも適正露出が自動的に得られるように、「5分割マルチパターン測光」も搭載しているので、「1/8000秒」と「5分割マルチパターン測光」のおかげで開放絞りでも、屋外逆光時のポートレート撮影を簡単に狙えます。
【ローソクの明かりでも合焦する高性能オートフォーカス】
筆者は、ファミリータイプの一眼レフ【F-401】も所有していますが、ローソクの明かり、シリカ電球20Wの明るさでは、体感的に8割以上でAFが挙動を繰り返し、MFに切り替えざる得ないことがあります。
同条件でも、【F-801】は現在でも実用レベルの高い精度で合焦します。
これは、F-801のために新規開発されたAFセンサー及び、ミラーボックスの下部にあるCCDラインセンサーの感度改良のおかげです。
まさに、オールドフィルムカメラで、ピント合わせに自信のない初心者に皆さまにもオススメできるポイントです。
【ストレスを感じさせないハイアイポイントファインダー】
つまり、眼鏡使用時でも容易にファインダーを覗くことができます。 アイポイント17mmを有する高級デジタル一眼レフ【D850】と比較すると見え易さがわかります。
また、マイクロプリズム式(ニコンでは、J型と呼ぶ)のスクリーンマットへ交換することで、Ai Nikkorレンズ及び Nikkor AUTO(Ai改造済)といったMFレンズで精密なピント合わせを要求される場合でもストレスなく撮影に集中できます。
昭和60年代初頭では撮影者の視力に合わせた別売の視度補正レンズ(接眼補助レンズ)を購入する必要がありました。
しかしながら、【F-801】【F90X】【F100】に対応する接眼補助レンズは数年前に生産完了品に移行した現在、中古アクセサリーコーナーでご自身の視度に合うレンズがあれば、迷わず購入しておいた方が良いでしょう。
※ニコン【F6】用の接眼補助レンズは直径が異なるため流用することはできません。
【オートフォーカスが駆動するレンズは「AIAF Nikkorレンズ」】
【F-801】のAF方式は、カメラボディ内のモーター・回転軸でレンズのピントリングを回転させる仕様のため、【AF-S】【AF-P】は対象外です。
【AIAF Nikkorレンズ】は昭和60年登場以来、大多数が市場に出回っているので、中古市場では比較的お買い求めやすい金額で、レンズシステムを構築可能です。
※AF Gタイプの参考例
AF Zoom Nikkor ED 28-200mm F3.5-5.6G (IF)
AF Zoom Nikkor 28~100mm F3.5~5.6G
【お財布に優しい 単三アルカリ電池4本使用】
まずは主なAFフィルムカメラ用のリチウムバッテリーの価格相場を、家電量販店2社で税込み価格にて調べてみました。
■東芝 2CR5 ・・・ 1,375円
主な対応機種 EOS 55・α807si・ペンタックス Z-1など
■東芝CR2 2本入り・・・889円
主な対応機種 EOS Kiss III・α Sweet II・ペンタックス MZ-3など
■東芝 CR123A 2本入り・・・889円
主な対応機種・・・ New EOS Kiss・F70D・オリンパス L-3など
■東芝 CR-P2・・・1,375円
主な対応機種・・・F601・ペンタックス SFX
しかも、充電式でないので、フィルム10~20本毎でリチウム電池を買いますと、長期的に比較すれば、カメラ本体より高くなる機種も現れます。
ニコンのAFフィルム一眼レフで良心的なのは、コンビニエンスストア・スーパーマーケットで確実に入手できる「単三アルカリ電池」で駆動する機種が多い点です。
例えば、上位機種から【F5】【F4】【F4S】【F100】【F90】【F90X】【F-801】【F-801S】【F-501】【F-401】【F-401X】など非常に多いです。
推奨は、東芝・パナソニックの大手ブランドのアルカリ電池ですが、ディスカウントストアでの安価なメーカーでも駆動はします。
しかし、安価な電池はしばらく使用しない期間があると「液漏れ」が生じやすいので、カメラから抜いて保管しましょう。
【最後に】
特に、レトロな書体の【Nikon】のプレートを掲げていて、かつシルバーカラーも選択肢にあるなど、外観上のカッコよさが人気の理由にあげられます。
【F-801】などのオートフォーカス機種は、プラスチックの外装で高級感・所有欲は負けますが、初心者でも安心できる【自動巻上げ】【自動巻き戻し】【自動露出】【自動焦点(AF)】がついています。
中古市場では、お買い求めやすい価格でありますので、サブ機として、1台買ってみるのはいかかでしょうか。
カメラのナニワ・レモン社・タカチホカメラでは、メーカーのサービスセンターで相談に乗れないような旧製品でも、お調べいたします。
皆さまお誘いあわせのうえ、ご来店をお待ち申し上げます。
■登場してくれた猫たち
はっちゃん・タクちゃん・ソラさん・オカッパちゃん・ミロくん
■使用レンズ
Nikon AIAF 50mm F/1.4
■露出モード
プログラムモード (全て+1段露出補正)
■使用フィルム
富士フイルム X-TRA ISO400