LUMIX S 100mm F2.8 MACRO レビュー【コンパクトな次世代マクロに歓喜】

カメラのナニワ京都店阿部です。

LUMIXからフルサイズ用マクロレンズ、「LUMIX S 100mm F2.8 MACRO(S-E100)」が登場しました。

Lマウントではシグマの105mm F2.8 DG DN MACRO Artがあったものの、LUMIXでは待望されていた初の等倍撮影可能なマクロレンズです。

発売前のレンズをお借りすることができましたので外観、作例と紹介いたします。

外観・機能

持った瞬間驚いたのがその小ささと軽さ。

重量は約298g (レンズフード、レンズキャップ、レンズリアキャップを含まず)

これが100mmマクロとは信じられないですね。

そしてもう一つ嬉しいことが、「LUMIX S F1.8単焦点シリーズ」とサイズ、形状、フィルター径を統一していることです。

過去に紹介したLUMIX S 50mm F1.8LUMIX S 24mm F1.8(他には18mm、35mm、85mmがあります)と同一形状なのです。

これがものすごく便利で、私はこのシステムを使いたいがためにLUMIXに乗り換えたと言っても過言ではありません。

S5IIとのサイズ感、バランスは完璧と言っていいでしょう。

・レンズを複数持って行ってもフィルターの付け替えが楽(私はマグネットフィルターを利用してさらに便利に)

・カメラバッグの整理が楽(仕切りの形状を変えなくてもいい)

・ジンバルなどでのバランス取りが楽

といったメリットがあります。

半面新しいレンズを持っているという感覚が少ないので、持つ喜びのようなものは薄いかもしれません。

私としてはこのシリーズの形状やバランスがかなり気に入っておりますのでモーマンタイなわけです。

このスペックでこのサイズ形状に収まったことが驚異的で、ここにこだわってくれたのが本当に嬉しいです。

側面には他レンズと同様にAF/MFの切り替えスイッチと、マクロレンズらしくフォーカススイッチも用意されております。フォーカススイッチは被写体距離に応じて変更することでAF合焦スピードが変わるので積極的に利用したいところ。

これだけコンパクトにしたマクロレンズなのだから、代わりに全群繰り出し式なんでしょ(?)などと思っていたのですが、なんとインナーフォーカス式でした。

約20年前に発売したレンズなのに、一般マクロレンズ代表として駆り出されたタムロンSP AF90mm F/2.8 Di MACRO Model272ENさん(右)

無限遠時は繰り出し式のレンズも収まっているのですが

最短撮影時は繰り出し式のマクロレンズだとここまで繰り出してしまいます。

LUMIX S 100mm F2.8 MACROはインナーフォーカスかつダブルフォーカス構成なので、高速、高精度、そして静粛なフォーカシングを実現しているとのことです。


フォーカスブリージングのチェック

また、ダブルフォーカス構成のおかげなのか、ブリージング(ピント位置移動時の画角変動)も非常に抑制されていることがわかりました。

こちらは全群繰り出し式のマクロレンズです。

繰り出し式のマクロは手前の花と奥のひまわりにピントを合わせたときで画角変動が大きくあることがわかります。

LUMIX S 100mm F2.8 MACROの場合
こちらだと画角変動がかなり小さく収まっていることがわかります。

これはかなり便利ですねえ。

これまで三脚に立てて物撮りするときなどでブリージングに悩ませられることが大きかったんですけど、画角を決めるのが非常に楽になります。

また、動画撮影でもブリージングの少なさは有効ですね。


作例

(F11 |  SS 1/125 | ISO 1250 | LUMIX S5II )

(F5.6 |  SS 1/40 | ISO 1000 | LUMIX S5II )

(F5.6 |  SS 1/125 | ISO 1000 | LUMIX S5II )

(F11 |  SS 1/125 | ISO 4000 | LUMIX S5II )

絞って撮ると水滴や葉脈の細かいところまで写る素晴らしい解像感。

葉っぱやお花がなんだか美味しそうに見えます。
(F5.6 |  SS 1/125 | ISO 1600 | LUMIX S5II )

虫食いの跡、色づきの変化のグラデーションもきっちりとらえてくれます。

こういう色味はLUMIXの十八番な感じがしますね。

(F2.8 |  SS 1/160 | ISO 100 | LUMIX S5II )

絞り開放でのマクロ撮影ですけど、ピント位置の解像感からなめらかにボケていく様子が見事です。

(F4|  SS 1/50 | ISO 12800 | LUMIX S5II )
(F5.6 |  SS 1/125 | ISO 200 | LUMIX S5II )

マクロが面白いのはこんな撮影ができるところ。

一枚目はビールの泡を、二枚目は自宅の窓の結露を撮影しました。

オートフォーカスに関してはマクロレンズ特有の「行って帰ってくる動作」はあるものの、かなり静かでスムーズです。

さらにフォーカススイッチを使うと、より素早く正確に動いてくれて、ノンストレスに近接撮影できて感動です。

(F8 |  SS 1/30 | ISO 400 | LUMIX S5II )

今回はLUMIX S5IIに装着して、全て手持ち撮影しております。

レンズには手ブレ補正がないのですが、カメラ本体には手ブレ補正があるので安心して使えます。

手ブレしやすいマクロ域においても、一応頑張って1/30でも撮れました。

どちらかというと、マクロ域の手持ちはピント位置がずれやすいことが難しかったですが、そういう時は広めの1点AFにし、AF-SでなくAF-Cにすると成功しやすいことに気づきました。(これってマクロ界隈では常識なのでしょうか。)

(F2.8 |  SS 1/125 | ISO 320 | LUMIX S5II ) (F2.8 |  SS 1/160 | ISO 100 | LUMIX S5II )

(F2.8 |  SS 1/250 | ISO 100 | LUMIX S5II )

マクロ以外の作例も。

中望遠ですから、背景が整理されてすっきりと写ります。

玉ボケやボケ方も綺麗で、ポートレートにもおすすめできます。

(F2.8 |  SS 1/1600 | ISO 1000 | LUMIX S5II )

AFはバチバチ合って気持ちが良いです。動き物に関しても、AF-Cがばっちり追従してくれます。

一本持っておくと、マクロもポートレートもスナップもいけちゃうわけです。

(F5.6 |  SS 1/125 | ISO 6400 | LUMIX S5II )

暗い店内で撮影。ISOはかなり上がってますがノイズが少ないのはLUMIX S5IIの魅力ですねえ。

(F2.8 |  SS 1/60 | ISO 12800 | LUMIX S5II )

うちの猫ちゃんを。

よく見ると我々夫婦がにやにやしながら撮影している様子が、瞳の写りこみから伝わるかと思います。


小さくて楽しくて最強!次世代中望遠マクロ

(F5.6 |  SS 1/125 | ISO 100 | LUMIX S5II )

このスペックでこのコンパクトさ、しかもF1.8シリーズと共通のシステムで使える利便性。

動画撮影や物撮りに有効なAFの速さ、正確さ、静かさ、そしてブリージング抑制。

マクロでAFがバシバシ合うのがこれほど楽しいとは。

軽い上に手持ち撮影もイケちゃいますので、気軽に持ち歩けるマクロレンズ。

その気軽さとは裏腹に、ハッとする見事な写り。

これはもう次世代のマクロレンズと言っても良いんじゃないでしょうか。

ナニワグループオンラインでお取り扱いございますので、ぜひご検討ください。