こんにちは~。編集長 中村です。
ひさびさに大物新製品レビューです。今回ご紹介するのはこちら!
こちらOMデジタルソリューションズ様よりデモ機お借りいたしましてしばらく使ってみましたので、その使用感をお伝えしてまいりたいと思います~!
【ブラッシュアップされたフラッグシップモデル】
【新しく追加された機能:ライブGND】
【プロキャプチャー撮影可能枚数UPやバッファ増設も】
【被写体認識に「人物」が追加! 全体的にAF精度もアップ】
【驚異の8.5段手振れ補正! 手持ちで気軽に長秒露光可能】
【OM SYSTEM最望遠レンズもあわせて登場】
【新製品でOM SYSTEMの守備範囲はさらに拡大!】
【ブラッシュアップされたフラッグシップモデル】
ついにペンタ部のロゴがOM SYSTEMになりました!
2022年11月に発売されたOM-5に引き続き、いよいよフラッグシップモデルもOM SYSTEMのロゴを冠するようになりましたね~。
ロゴが変わっているほか、マウントロック解除ボタン下あたりに「II」と入っていますね。
細かい意匠は変わっていますが、ぱっと見では外観にそこまで大きな変化はないように見えます。
有効画素数約2037万画素の裏面照射積層型 Live MOS センサー搭載、画像エンジンもTruePic Xから変更されておりません。
576万ドットのEVF、IP53の堅牢な防塵防滴仕様もそのまま。
しかし、このOM-1 Mark IIはユーザーから寄せられた様々なご意見をもとに、ぱっと見では分かりづらい細部の利便性を向上させたカメラとなっているのです!
ダイアルにエラストマー加工が施され、クリック感も強くなってより確実に操作できるようになりました。
ダイアル部の材質が若干マットな質感になっているのがお分かりいただけますでしょうか?
写真だとなかなか伝わりづらいですが、実際に触ってみると違いは歴然としています。
めちゃくちゃ操作感が上がりました!
OM-1のメニューボタンは左肩にあるため、左手でないと押しづらい位置にあります。
ゴミ箱ボタンからメニューにアクセスできるようになったことで、右手だけで操作が完結できるようになったほか、ファインダーを覗きながらの設定変更も可能になっています。
地味ですが、望遠レンズ装着時など手に余裕がない時は本当に助かる変更点です……!
【新しく追加された機能:ライブGND】
(19mm・F4・1/3200秒・ISO400)GND-2EV SOFT
今回、こちらのOM-1 Mark IIにはコンピュテーショナル フォトグラフィに新たな機能が追加されました。
その名も、ライブGND(グラデーションND)!
角形フィルターなどである「ハーフND」フィルターの効果をデジタル処理で得られるようにした機能です。
上の2枚はライブGND機能を使ってない写真と使った写真のサンプルです。
建物と空の境界線にあわせてライブGNDをかけてみましたが、空や雲の部分の白飛びが抑えられているのが一目でお分かりいただけると思います!
この線の位置を調整することで、減光をかけられる範囲を調整することができます!
減光をかける範囲をだいぶ細かく設定できますね~。
ハードタイプのハーフNDのように減光部の境界線がはっきりしているのが「Hard」です。
一方、ソフトタイプのハーフNDのようにグラデーション状に減光がかかるのが「Soft」になります。
「Medium」はその中間ですね。
(373mm・F6.1・1/320秒・ISO400)GND-3EV SOFT
それでは作例とともに使用感をお伝えしてまいりましょう。
輝度差の激しいシーンの代表格である夕焼けを撮ってみました。
ライブGNDで地平線から上に3段減光をかけていますが、撮影時にカメラの機能で諧調をコントロールできると後からの画像編集するにしてもやりやすく、非常に便利ですね!
フィルター本体・ホルダーともにそこそこ値が張るため、角形フィルターはなかなか初心者には手が出しにくいアイテムですが……。
カメラ内の機能でこれが再現できるのは非常にありがたいです!!
(27mm・F4・1/1000秒・ISO400)GND-2EV SOFT
こちらは逆に下側の1/3ぐらいにライブGNDをかけることで、空の淡い諧調を維持したまま夕焼けの色合いを強調しています。
地上部分は真っ黒に潰してシルエットにしてしまっていますが、夕焼けが主役のドラマチックな感じが出せたのではないかと思います。
ちなみに、こちらのライブGNDは「真ん中付近だけ強く減光をかける」角形フィルターのリバースNDのようなことはできません。
また、ハイレゾショットなど他のコンピュテーショナル フォトグラフィとの併用もできません。
(27mm・F4・1/1000秒・ISO400)GND-2EV SOFT
とはいえ、角形フィルターは装着にも手間がかかるうえに割れやすく取扱いにも注意を要するアイテムですので、その効果をカメラ内の機能で再現できるのは非常に便利!
撮影地に多くの荷物を持ち込めず最低限の装備だけで撮影に臨まなければならない状況や、足場が悪くて三脚等をセットできない状況などでは輝くこと間違いなし。
そういった本格的なシチュエーションだけでなく、スナップなどでも気軽に使えますので使ってみると思った以上に重宝する機能です。
【プロキャプチャー撮影可能枚数UPやバッファ増設も】
(548mm・F6.3・1/500秒・ISO800)※トリミングあり
その他にもOM-1 Mark IIのパワーアップポイントはあります。
まず、半押しで遡り記録ができるプロキャプチャー機能の撮影枚数が最大99コマになりました!
OM-1は最大70コマまでの遡りまでしかできなかったので、より確実に「決定的瞬間」を記録できるようになりました。
(600mm・F6.3・1/1000秒・ISO2500)※トリミングあり
その他、バッファ(カメラ内メモリー)が増設され、連続撮影枚数が従来機比で約2倍と大幅にアップしております!
以前、OM-1をお借りして撮影した際に、RAW+JPEG同時記録で連写していると書き込みが追い付かずに撮影が止まってしまうことも。
一方、今回OM-1 Mark IIをお借りしてRAW+JPEG同時記録で爆連写してみましたが、確かに記録が追い付かなくなるまではかなり余裕がありました。
(200mm・F5.5・1/1600秒・ISO200)
一方、高速連写モードSH2では新しく12.5コマ/秒と16.7コマ/秒が設定できるようになりました。
前モデルのOM-1では25コマ/秒か50コマ/秒のどちらかしか設定できませんでしたが、「撮りすぎ」を防ぐために遅めのコマ数も設定できるようになっています。
容赦なくフルスロットルで連写しきると撮影後のセレクトが本当に大変なので、地味に助かる機能追加ですね~。
【被写体認識に「人物」が追加! 全体的にAF精度もアップ】
(274mm・F6.3・1/60秒・ISO2500)※トリミングあり
前モデルのOM-1に顔優先AF/瞳優先AFの機能はありましたが、OM-1 Mark IIではそれがさらに進化して「人物」認識AFが使えるようになりました!
人物の顔や目が写っていなくとも、後ろ姿や姿勢で人間を被写体検出してくれます。
これによって自転車のロードレースの撮影なども撮影しやすくなりますね~。
(274mm・F5.8・1/125秒・ISO320)
また被写体認識・AF精度が全体的に向上しているとのことですので、普段撮り慣れていない電車をちょっと撮影してきてみました。
遠ざかっていく車両を後追いで撮影していますが、バッチリとピントを合わせ続けてくれましたので非常に快適な撮影が楽しめました!
【驚異の8.5段手振れ補正! 手持ちで気軽に長秒露光可能】
(45mm・F4・5秒・ISO200)
また、手振れ補正アルゴリズムを刷新することで、補正効果が最大8.5段となりました!
「10秒手持ち撮影OK! 三脚なしで星景写真も撮れます!!」とのアナウンスですが、そこまで極端な使い方をすることは稀でしょうけど……。
上の写真は、換算90mmで手持ち5秒撮影を行っています。
けっこう狭い画角でも5~6秒ぐらいなら平気で止まりますので、夜スナップなどで使うのもかなりアリなのではないでしょう?
(9mm・F8・6秒・ISO200)ライブND -7EV
OM-1 Mark IIでは、従来から使用可能だったコンピュテーショナル フォトグラフィ ライブND(画面全体にかけるやつ)にND128(7段減光)が追加されました。
この機能を活かして、6秒の長秒露光で人の動きを消してみた写真がこちらです。
特に広角レンズだとめちゃくちゃ簡単に手持ち長秒撮影が「止まる」のがすごい。
これも街中スナップ撮影の時などに表現の幅を広げてくれそうですね!
(18mm・F8・2秒・ISO200)ライブND -7EV
もちろんNDフィルターを使った表現の定番である水の流れを撮影するのもお手の物。
2秒程度なら何一つ苦労せずに止めてくれますので本当に優秀です……!
【OM SYSTEM最望遠レンズもあわせて登場】
M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 ISです!
こちらもあわせてデモ機をお借りしましたので、使用感をお伝えしてまいります~。
(400mm・F6.1・1/400・ISO800)
35mm換算 300mmから1200mmという途方もなく広い範囲を1本でカバーできるというなかなか強力なレンズがこちら……!
既存のM.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 ISやM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROよりもテレ端が長いので、いままで以上に遠くの被写体を撮影することができます。
テレコンバーターも使用可能なので、M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20を装着すれば最大で焦点距離2400mm(換算)にすることも可能!
もはや何を撮る用なんだ……。
(600mm・F6.3・1/320・ISO200)
テレ端の600mmであれば月もこれだけ大きく撮れます!
しかも手持ち撮影可能!!
レンズ単体で広角側 6段・望遠側 5段の手振れ補正が備わっていますが、シンクロIS時は広角側 7段・望遠側 6段とより強力になります。
(600mm・F6.3・1/640・ISO800)※トリミングあり
AF駆動もスピーディーで非常に優秀。
前ボケ・後ボケともにガサガサした感じもなく、クセのない使いやすいレンズですね~。
(600mm・F6.3・1/640・ISO800)GND-2EV SOFT
ライブGNDの作例撮影とあわせて逆光耐性をテスト。
かなりシビアな光線状況ですので多少のゴースト・フレアは発生しましたが、この程度で収まっているならばなかなか優秀ではないでしょうか?
(150mm・F6.3・1/500・ISO200)
パープルフリンジ(輝度差のあるシーンで発生する色滲み)の発生具合をテスト。
これもかなり厳しい光線状況で撮影しているので枝の周辺に多少フリンジが発生していますが、実用上困るほどのものではないかなという印象です。
(358mm・F6.3・1/1000・ISO1000)
野鳥撮影では、鳥のシルエットと背景の空のあいだに輝度差が発生しやすく、パープルフリンジが十分補正されていないレンズだとなかなか悲惨なことになるのですが……。
これぐらいフリンジが抑えられていればわたしはまったく文句ありませんね。
(287mm・F5.8・1/1000・ISO800)※トリミングあり
ただし、重量2,065gとなかなか重たいので、長時間の手持ち撮影はちょっとキツいかもしれません……。
持ち歩き時も地味に負担になりますので、このあたりは体力と相談かなというところ。
(150mm・F6.3・1/160・ISO200)
とはいえ、広角端では最短撮影距離0.56m・最大撮影倍率0.70倍(35mm換算)、望遠端では最短撮影距離2.8m・最大撮影倍率0.39倍(35mm換算)とテレマクロレンズとしても運用できます。
今回は機能テストしませんでしたが深度合成機能にも対応しておりますので、1本で様々な撮影をこなせるレンズであることは間違いありません!
【新製品でOM SYSTEMの守備範囲はさらに拡大!】
(600mm・F6.3・1/640・ISO12800)※トリミングあり
という具合に、今回の新製品によってもともといろいろな撮影をカバーできていたOM SYSTEMの守備範囲がさらに広がりましたね~!
たった2年でのモデルチェンジ、直前までOM-1のキャッシュバックもやっていたのでこの新製品の情報を耳にしたときは正直びっくりしましたが……。
OM-1の多芸で優秀なところを引き継ぎながらも、さらにできることが増えていて「次はこれを試してみようかな?」という意欲を掻き立ててくれるカメラになっていますね!
(12mm・F4・1/200秒・ISO400)GND-2EV SOFT
弊社では昨年末にOM デジタルソリューションズ様 協賛でOM-1での野鳥撮影会を実施させていただいています。
なので、「そもそもOM-1自体が優秀よね」と思わないこともないのですが……。
細かい使い勝手も改良され、ライブGNDなどユニークな機能も新しく入ってきていますので、いろいろなシーン・撮影状況に対応するポテンシャルは確実に上がっています。
(287mm・F5.8・1/1000・ISO1600)
「もともとOM-1を使われていた方が、発売と同時にOM-1 Mark IIへとすぐ乗り換えるべきか?」については若干検討の余地があるかもしれませんが……。
ダイアル部の改良・バッファ増強は特に野鳥撮影ユーザーには嬉しいポイントです。
今回、このような改善が施されたということは、長らくOM-1を使ってきた方の中にはこのあたりに不満を感じていた方が一定数いたということなのでしょう。
カメラを持ち出すシーン的に、改善点や新しく追加された機能などがハマると感じた方は買い替えを視野に入れても損はないはずです。
(600mm・F6.3・1/160・ISO800)※トリミングあり
次にM.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 ISですが、OM SYSTEM最望遠のレンズが更新されましたのでこれでまた撮れる被写体が増えました!
先述の野鳥撮影会で講師の田中 博先生に「野鳥撮影においては800mmが標準レンズ」と教えていただきましたが……。
換算1200mm相当のこちらのレンズを使えば、被写体との距離に応じて余裕を持って柔軟に立ち回ることができますね~。
(210mm・F6.3・1/200・ISO250)
鳥や動物、鉄道や飛行機のみならず、花を撮るのにも意外と使えます。
焦点距離の長さを活かして、樹上の高いところに咲いている梅を撮ってみました。
大きく柔らかいボケが作れるのもメリット。フィールドで撮れる被写体の幅がグッと広がりましたね!
(600mm・F6.3・1/640・ISO640)※トリミングあり
いよいよフラッグシップ機のロゴも刷新され、新しい一歩を踏み出したOM SYSTEM!
マイクロフォーサーズならではの利点を活かしたユニークなカメラ・レンズ群は非常に魅力ですので、今回の新製品をきっかけに改めて皆さま興味を持っていただければと。
OMデジタルソリューションズ様とは「今後も撮影イベントを開催していきましょう!」とのお話をしていますので、また企画しましたらぜひご参加いただければと思います!
すでにナニワグループオンラインでも予約開始しておりますので、「待ちきれない! おれはもう買うぜ!!」という方はぜひご注文お待ちしております~!
事前登録で1万円分のVisaギフトカードがもらえる「いいねキャンペーン」や発売記念レンズキャッシュバックなどもありますので、こちらもぜひご活用いただければと!
それでは今回もめちゃくちゃ長くなりましたが、最後までお読みいただきましてありがとうございました!
また次回のブログでお会いしましょう~!!
【おまけ】
(28mm・F4・1/1.6秒・ISO1600)
申し訳程度、手持ちで星を撮影してみようとチャレンジしましたが……これが限界です~!!
上を向くとどうしても姿勢が不安定になって難しい……。
それこそ星を撮るのに最適なライブコンポジット機能もOM-1 Mark IIには当然入っていますので。
よほどの状況でない限り、無理せず三脚使ったほうがいいんじゃないかな~と思ったり。