あらためて定番オールドレンズを使ってみる【個性派レンズ3本】

銀座店 島と申します。

レモン社に4月に入社いたしました。これからどうぞよろしくお願いいたします。


近年のカメラ界隈では
何かとオールド〇〇という言葉をよく聞きます。

オールドレンズのブームから始まって、その後にコンパクトフィルムカメラのブームがあって最近ではCCDセンサーのオールドコンデジがブームになっています。

かく言う私も、数年前にまだ学生だった頃、オールドレンズブームでロシアレンズをよく使っていた時期がありました。

なぜ今回、その時のオールドレンズを引っ張り出してブログを書いているのかと言うと……。

先日、映画館で去年のアカデミーにもノミネートされた『哀れなるものたち』という
映画を観ていたら、グルグルボケのペッツバールを使っているシーンがありました。

写真ではなく映像でそうしたレンズが使われてることにかなり衝撃を受けて久しぶりに使ってみたくなったからです。
(ちなみにペッツバールは銀座店に復刻されたものを販売しているので気になる方は、是非!!)

調べて見ると、今映画業界では古いフィルム一眼レフ用のオールドレンズを改造して映画撮影に使用するのが、当たり前になっているようです。

日本でも、今年公開の『悪は存在しない』という映画のメイキングインタビューを読むと、Ai NIKKORのレンズをBlackmagicにアダプターでとりつけて撮影に使っていたというのだから驚きです。

前置きが長くなりましたが、今回は最近使っていなかったオールドレンズを再評価しようということで早速やっていきましょう。


【ヘリオス 44-2 58mm/F2】

戦前に作られた、カールツアイス ビオターのコピーで、レンズ構成は4群6枚のダブルガウス型。

グルグル円を描くようなボケが特徴の非常に有名なレンズです。

柔らかいコントラストとソフトなフォーカスでいかにもオールドレンズといった写りをしています。

一時期とても流行って日本にも沢山あったのですが、最近はロシアの戦争の影響もあったかあまり店頭でお見かけすることも減ったレンズです。

映画『デューン砂の惑星 PART2』で使用されたことでも話題になりました。

作例(a7iiで撮影)被写体許可済み

このレンズの良さはなんといっても
解放で撮影した際の特徴的なボケ感です。

特にこの作例のように人物を撮影すると、漫画の集中線のように被写体を際立たせてくれるので、とても印象に残る面白い写真が撮れます。

作例(a7iiで撮影)

このレンズの弱点は逆光だとフレアが強く出るので要注意です。

さらに逆光で絞り込むと六角形の絞りバネの形がくっきりと見える大きなフレアが画面に乗ってしまうので、良くも悪くもチープな作りです。

ですが、飛び道具として友達と写真を撮り合う時に持っていると楽しいレンズだと思いますし、個人的に結構気に入っています。


【インダスター61 L/Z-MC 50mm F2.8】

カールツアイス テッサー50/2.8をコピーしたレンズ。

今でも十分実用に耐えうるテッサー型らしいシャープな写りで、安価ながら評価の高いレンズです。

特徴は絞り羽根が六芒星のような形をしていてF5.6〜8ほどに絞ると独特な光のボケが現れることです。

MCはマルチコーティングの施されたモデルという意味です。

作例(a7iiで撮影)

実はこのレンズ、最短焦点距離が0.3mと
かなり寄って撮影できる優れもの。店によってはマクロレンズと分類されて店頭に並んでいることもあります。

レンズの前に腕時計をかざしてもピントを合わせて文字盤を見ることが出来ます。

このブログを書いてる間に気になってコピー元のテッサー(イエナ製のもの)も購入してみました。

撮り比べもしてみましたが、インダスター61の絞り羽根の見た目はインパクトがあるので、レンズ構成そのものはコピーだけれどもはや別物という印象でした。

作例(a7iiで撮影)

特徴的な六芒星の星ボケです。

ヘリオスは解放で撮って楽しいレンズですがインダスター61は絞ると個性が出てくる楽しいレンズです。

【マイヤーオプティクス ドミプラン 50mm/F2.8】

今まで旧ソビエト製レンズでしたが、こちらは、旧東ドイツのレンズです。

構造は、3枚で構成されたトリプレットタイプのレンズで、解放で撮るとバブルボケという特徴的な形のボケが出るのが面白いレンズです。

このレンズと一緒に東ドイツ製のプラクチカLを手に入れたので、ここからはフィルムでの作例になります。

(FUJI カラー400で撮影)

桜を撮ってみました。
ぐるぐるボケがかなり出ています。

先程のヘリオスがレモン型のボケだったのに対して、こちらは丸いボケ感でまた違う特徴があります。

(FUJI カラー400で撮影)

実はこのレンズ、F4以上に絞るとかなりカチッとした引き締まった画になるので、状況によって使いわけができるメリハリのあるレンズです。

ただ最短焦点距離が0.75mで欲を言えばもう少し寄れたら良かったのにという場面が度々あったのが少し残念な所です。

比較的安価ながら、色々なシチュエーションで使える良いレンズです


【まとめ】

今回は私の持っている最近使っていなかったオールドレンズを使って、撮影とレビューをしてみました。

古いものだからこその、不便さと魅力を感じながらも、改めてオールドレンズの楽しさを
実感できました。

皆さんも家に眠っている使っていない機材を探してみて、たまには撮影に使って見ると新しい発見があるかもしれません。