こんにちは~。編集長 中村です。
今回は8/3(土)のなにわ淀川花火大会にて花火撮影にチャレンジしてみましたので、体験レポートとしてまとめたものをお見せしてまいります~。
「チャレンジ」という言葉を使うのは、わたくし人生で花火を撮ったのは数回程度しかないド素人だからです。
ライブコンポジットで軽く撮ってみたり、手持ちで多少撮ってみたことは何回かありますが、本格的な花火撮影は今回が人生初となります。
そして「まぁ何とかなるやろ」と舐めた気持ちで行ったため、いろいろ失敗やらかしてます。
この体験レポートを「反面教師」として、これから花火撮影に挑戦しようという方の学びのきっかけとなればと思います……!
【まず花火撮影の基礎をおさらい】
【打ち上げ花火、近くから撮るか 遠くから撮るか】
【今回の使用機材】
【花火打ち上げ開始! 失敗カットの山!!】
【失敗から学ぶ 花火撮影3つのポイント】
【夏はまだこれから! 次の花火大会に挑戦しよう!】
【まず花火撮影の基礎をおさらい】
夏本番!カメラで花火を失敗なく撮影するためにチェックしたい5つのポイント
まず、ご存じの方も多いと思いますが花火撮影の基礎知識を最初におさらいしておきましょう。
過去ブログでちょこちょこ紹介されてますが、改めてまとめるとこんな感じ。
- 花火は長時間露光で軌跡を撮るもの。三脚は必須!
- 花火が打ち上がってから空中で開くまでの間、シャッターを開きっぱなしに
- シャッターボタンを指で押すとブレるのでケーブルレリーズやリモコン必須
- ISOは下げられるだけ下げる。ISO 100前後が目安(拡張感度にはしない)
- 露出調整のためにも絞りはしっかり絞る。だいたいF8よりも絞ることが多い
- ピント合わせはMFで
- 手ブレ補正OFF・長秒時ノイズ低減OFF 推奨
- RAW形式でも記録しておく
花火の撮り方はある意味単純で、「花火が打ちあがってから開くまでシャッターを開けっぱなしにする」だけです。
まずカメラのモードはB(バルブ)に設定。
5~10秒前後シャッターを開けっぱなしにするので、ISOを下げて絞りも絞ることで光量を調整します。
ISOはなるべく低くして100ぐらいに設定しましょう。
カメラによってはISOを通常の限界も低くできる「拡張感度」という機能があるものもありますが、この拡張機能は使わないことをおススメします。
次に絞りですが、F8~F13ぐらいに設定するのが一般的です。
絞りはあくまで光量調整のために使うような感じなので、明るさに合わせて都度調整してOKです。
JPGだけでなくRAW形式でも記録しておいて、撮影後に編集ソフトで最終的な写真の明るさを調整できる余地を残しておきましょう。
花火撮影のような長秒露光撮影の際には、ケーブルレリーズやリモコンなどを使いましょう。
長時間露光時はほんのわずかな振動でも写真がブレてしまうため、カメラに直接触れることなく写真が撮れるアクセサリーが必要になります。
ナニワグループ一部店舗では店頭で中古品も扱っておりますので、花火撮影の際には1つは持っておくと重宝します(きちんと対応したメーカーのものを買いましょう)
また、事前にMF(マニュアルフォーカス)で概ねの位置にピント合わせをしておきましょう。AFで撮るのはほぼ無理です。
その他、ちょっと細かいですがあらかじめOFFにしておきたい機能が2つあります。
まず1つ目は手ブレ補正機能。ボディ内・レンズ内問わず、手ブレ補正は完全にOFFにしておきましょう。
長時間露光中、勝手に手ブレ補正が働くと逆に写真がブレてしまうことがあります。それを防ぐためにOFFにしておくのがベターです。
また、おそらく「長秒時ノイズ低減」的な機能が大体のカメラに入っていると思いますが、これもOFFにしておくことをおススメします。
これは長時間露光撮影時にノイズリダクションをかけてくれる機能なのですが、このノイズリダクションに時間がかかってカメラを操作できなくなることが……。
「シャッターを切りたいのにカメラが動かない……!」とならないよう、事前にOFFにして撮影に臨みましょう。
【打ち上げ花火、近くから撮るか 遠くから撮るか】
さて、だいたいの撮影手順は説明した通りになりますが、「どこから撮るのか?」というロケーションの問題が次に浮かび上がってきます。
今回は、花火大会の会場である十三付近から約十数キロ離れた伊丹空港付近から撮影してみることにしました。
具体的にはこのあたり。伊丹空港の北に位置するエアフロントオアシス下河原という公園から撮影に臨みました。
淀川まで距離はあるものの、間に障害物となるような高い建物もなく、花火自体も高く上がるので望遠レンズで撮影可能とのこと。
千里中央店 柳武が去年ここから撮影した写真がこちらだそうです。合成なしでこれ撮れたらしいのですごすぎる……。
D750に300mmレンズをつけて換算450mmで撮ってこんな感じとのこと。そこそこ焦点距離の長いレンズが必要になります。
今回、会場から離れてわざわざ遠くからから撮影しようとしたのかと言うと、近くで撮影しようと思うと位置取りがシビアだからです。
上の写真は、天神祭を去年見に行った時に「花火も撮れたらいいな~」ぐらいの軽い気持ちで打ち上げ会場付近で待機していた時に手持ちで撮ったもの。
思いっきり枝が被って何一つ撮れなかった……。
大きな花火大会であれば基本的に会場付近は混雑しており、行き帰りの交通アクセスに苦労することも多いです。
なので、今年は手堅く撮れるスポットをチョイスしました。
勝ったな……。
【今回の使用機材】
では今回の使用機材をご紹介いたします。
カメラボディはいつものSONY ZV-E1、レンズはお店から中古在庫を借りたFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSですね。
今回はSONY純正AFレンズを使用しましたが、どうせMFで撮影するし絞るので焦点距離さえ足りていればレンズは何でもいいかなと思うなど。
三脚はLeofotoのLS-323C、ビデオ雲台&レベリングベースを装着しています。
このLS-323Cは伸長1,520mmと大型ながらカーボンファイバーチューブを使用して大幅に軽量化されており、重量1,520gと非常に軽いのが良いところです。
……まぁ結論から言うと、この軽い三脚を使ったことがある失敗に繋がるのですが。
そしてもう一つ、だいぶ深刻なやらかしをしました。
リモコン持ってくるの忘れた……。
お前さっきあんだけ偉そうに「ケーブルレリーズやリモコン必須(キリッ)」言うてたやん!!
けっこうお高いので出先で現地調達というわけにもいかず、今回はテストもかねてスマートフォン用アプリ 「Creators' App」からのリモート操作を使って撮影してみました。
まぁそもそもZV-E1はメカシャッターレスのためB(バルブ)撮影モードが搭載されていないんすけどね。
「決め打ち5秒とかで撮ったら何とかなるやろ」という何から何まで出たとこ勝負のスタイルで撮影に臨みました。
……はい、もちろん何一つ大丈夫ではありませんでしたけど。
【花火打ち上げ開始! 失敗カットの山!!】
SS:5秒 絞り:F8 ISO:80 焦点距離600mm
さて、定刻の19時30分にいよいよ花火が上がりはじめました! とりあえずjpg撮って出し未現像の写真をお見せしてまいります。
花火が上がる大体の方角は把握していたものの、やはり実際に始まってみるまでカメラをどこに向ければいいのか分からないのが厳しい……!
はじまる前に遠方のビル群へMFでピントをあわせておいたのにも関わらず、1枚目の写真が盛大にピンボケしてる謎。
ZV-E1はISO 80が最低感度なので通常よりも低い感度で撮影していますが、RAW現像前提なので露出は明るすぎず暗すぎで大丈夫そうです。
SS:6秒 絞り:F8 ISO:80 焦点距離394mm
画角を変えたりシャッタースピードを6秒にしたりと悪戦苦闘して、開始約10分が経過した時点でようやくそれっぽいのが撮れはじめます。
一弾だけなのでちょい見栄えは地味ですが、打ち上げから開くまでの軌跡がこんな感じに撮れていれば良いということですね。
SS:6秒 絞り:F8 ISO:80 焦点距離394mm
これはトリミングして縦にしちゃえば使えそうな1枚!
こういう風に高さがある奴らが上がるタイミングをきっちり予測しないとダメですね……。
プログラム表とかもちょっと見ましたが、どれくらいの大きさの花火がどれくらいの高さで上がるかまでは書いてないので……。
ここら辺は場数を踏んで経験を積んで狙っていくしかなさそうなのが難しい!
SS:6秒 絞り:F8 ISO:80 焦点距離600mm
で、ここらへんでズーミングして画角を変えてるのですが、全力でピンボケしております(比較明合成は捨てて画角変えまくってます)
ズームリングを動かしたときにピントリングも動いてしまった可能性もありますが……。
写真用ズームレンズはパーフォーカル(焦点距離を変えた時にピント位置が変わらない)ではないものが大半ですので、それでピント位置がズレた可能性もあります。
ズームレンズで花火撮影する場合、ズーミングしたらピント位置も変わる可能性があるのでこのあたり注意しておいた方が良いでしょうね。
SS:5秒 絞り:F8 ISO:80 焦点距離496mm
はみ出~!!
小さいの連発からいきなりデカいの来るともう全然対応できません。
合成なしで撮るならなおさら、こういう感じで一挙に上がるタイミングを狙う必要がありますがそこらへんが全然分かってなかったなぁ……。
SS:6秒 絞り:F8 ISO:80 焦点距離362mm
ここのあたりから異変が発生してきます。
なんか花火がモヤモヤした写りになってる……!?
これ、当日その場では気づかなかったのですが、後で画像を確認してみて有識者に尋ねたところ「三脚ブレてるね」と言われました。
風が強い中、焦点距離の長いレンズを据えて長時間露光するのにはわたくしの三脚(Leofoto LS-323C)では不十分だったらしく……。
それなりにサイズ感のある三脚のつもりだったので、まさかこれでも重量が足りないとは思いもしませんでした……。
SS:5秒 絞り:F8 ISO:80 焦点距離433mm
そして今回、空港の近くから撮影したことによってちょっと困ったポイントが1つ。
シャッターを開けている間に飛行機が離陸していってしまうとこんな感じに光跡が写りこんでしまうんですねぇ……。
こればかりはどうしようもないですね。難しいところです。
SS:5秒 絞り:F8 ISO:80 焦点距離481mm
もういろいろとグダグダになってしまい、半ば諦めモードになりつつもまだ時間あるので撮影を継続していきます。
このあたりでスマホアプリをレリーズ代わりにして花火撮影することの良し悪しについてもちょっと述べておきますね。
今回、SONYの公式アプリ「Creators' App」のリモート撮影機能を使ってみた感想としては……。
接続もそれなりにスムーズでレリーズ時のラグもなく、いちおうケーブルレリーズやリモコンの代用品として最低限使えるものではありました。
ただし、スマホ画面に表示されるライブビュー映像が非常に荒くてディテールが全然分からない状態だったのがなかなか辛いです(おそらくライブビュー速度優先モードだったため)
ケーブルレリーズやリモコンのように物理ボタンがなくタッチスクリーンでの操作のため、花火を目視しながら手だけで操作してシャッターを切ることができないのもちょっと不便……。
また、Wifiだと接続がやや不安定で、1時間の間に2回ほど接続が切れてしまいました(すぐに再接続できましたが)
USB-Cで有線接続もできますので、こういう気合の入った撮影の時には使うとしても有線接続のほうが安定するので良いかと。
SS:5秒 絞り:F11 ISO:80 焦点距離452mm
SS:5秒 絞り:F11 ISO:80 焦点距離600mm
ここらへんから1段絞ってF11で撮影してみています。
2枚ともF11の5秒で撮っているのですが、上がっている花火の数が多いと写真全体が少し明るめになっているのが分かりますね。
花火をすごい連発するようなプログラムになってきたら絞り値を上げるなど、臨機応変に対応する必要があるわけです。難しい……。
SS:5秒 絞り:F11 ISO:80 焦点距離470mm
今回、バルブ撮影ではなく5~6秒固定で撮影してみた感じ、露光時間が短すぎて花火が少ししか写っていないカットを量産してしまったのですが……。
良くも悪くも花火撮影で定番の失敗「シャッターを長く開けすぎて白飛びさせてしまった」写真は1枚もありませんでした。当たり前だけど。
バルブで撮る場合も漫然とシャッターを開けっぱなしにするのではなく、「この会場でこれくらい花火が上がっているときにこの秒数なら白飛びしないかな?」というのあらかじめ確認しておくことで成功率はだいぶ変わるだろうなという印象です。
SS:5秒 絞り:F11 ISO:80 焦点距離470mm
今回の花火撮影で一番いい感じに撮れた(というかこれぐらいしかまともに撮れてない)1枚がこちら。
まぁちょっと風でブレてますけど許してください!
SS:5秒 絞り:F11 ISO:80 焦点距離470mm
SS:5秒 絞り:F11 ISO:80 焦点距離371mm
そしてフィナーレ直前のラッシュが始まりましたが、強風により三脚がガクガクになってもう全然ダメでした。
モヤモヤのカスカスで何が何やら……。
【失敗から学ぶ 花火撮影3つのポイント】
というわけでだいぶ散々な結果に終わりました。
わずかに撮れた「これぐらいならギリ使えるか」という感じの写真を現像したものをご覧いただきつつ、改めて反省点をまとめていきたいと思います。
①長時間露光するならデカくて重い三脚は正義
昨今のミラーレスカメラの手振れ補正機能はすさまじく、8段分補正とかがもはや当たり前になってきたため三脚の出番はかなり減ってきていますが……。
長時間露光撮影をしようと思ったら「三脚はデカくて重いものほど良い」です。これは本当に痛感させられました……。
会場近辺でそんなに焦点距離が長くないレンズを用いて撮影するのでしたらある程度の三脚でなんとかなるとは思いますが……。
望遠で花火を撮る場合、重量感のある三脚こそ必須アイテムだと思いますね。
せっかく頑張って撮りに行ったのにカスカス ヒョロヒョロの線香花火みたいな写りになってしまうのは本当に悲しいので……!
②「画になる」タイミングを予測しよう
いざ花火が上がり始めてしまうと焦ってとにかくポチポチしてしまいがちですが……。
中途半端なタイミングで派手な「画になる」ような花火が上がってしまうと上手く撮れないので注意です!
花火の上がっていく流れを少し冷静に見て、「もうすぐ大きいのが来そう!」というタイミングではいったん待機するなどの冷静な判断が重要なのかなと思いました。
花火が上がるペースが速くなってくると直後にクライマックスで大きい花火が上がることが多いですね。
バルブ開けっ放しにしていると全部白飛びしちゃう可能性もあるので、連発してる部分と大きい花火を別個で撮って現像段階で比較明合成するのもアリでしょうね。
③白飛び予防のためにも露出チェックは入念に
タイミングの話もありますが、それと同時に花火撮影で難しいのはやはり「何秒間シャッターを開けるのか」というところ。
あまり短いとそれはそれで華やかな画が撮れないし、長すぎると白飛びで台無しになってしまうという……。
今回はカメラの制約でバルブ撮影を行わなかったのですが、バルブで撮ってたらそれはそれでシャッター閉じるタイミングを計れなくて失敗しまくってた気がします。
同時に上がる花火が多ければ多いほど露出過多になる可能性が高いです。
例えば控えめに花火が上がっているタイミングで秒数を決めて一度撮ってみて、暗めの写りだったら派手にいっぱい上がっても白飛びしづらくなりますね。
②の話に通じますが、盛り上がる場面にこそ露出を合わせられるよう、露出コントロールは入念にしましょう!
【夏はまだこれから! 次の花火大会に挑戦しよう!】
という感じで今回も長くなりましたがいかがでしたでしょうか?
花火撮影はいろいろと手間がかかるうえに撮影方法も独特なのでチャレンジするハードルがなかなか高いですが……。
そのぶん上手く撮れたときの嬉しさも大きいですし、ぜひ皆さまチャレンジしてみてください~!
ちなみにですが、実は手持ちでも花火は撮れます。
ちょっと前に関東へ旅行に行ったときに偶然近くで花火大会をやっていたので撮ってみたものがこちら。標準レンズで1秒手持ち撮影です。
今どきのミラーレスカメラはフルサイズなら1秒・マイクロフォーサーズなら5秒ぐらいは余裕で手ブレ補正の効果で「止まる」のがすごいところですね~。
ガチ装備でなくても撮れるケースはありますので、会場にいったついでにちょっと撮ってみるなどお気軽に試してみていただければと思います!
というわけで今回も皆さま最後までお読みいただきましてありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう~。
【おまけ】
こちらは同じ会場から千里中央店 柳武が撮影した花火です。
比較明合成してるとのことですがめちゃ綺麗~!
ただ、どうも今年は例年よりも風が強かったとのことで、少しブレてしまっていますが……。
こういう風に天候などに左右されやすいところも花火撮影の難しさ……。
去年、伊丹空港付近で猪名川花火大会を撮影した写真も柳武より提供してもらえました。
来週17日か~。行けたらリベンジマッチしてきたいですねぇ……。