こんにちは! 心斎橋本店のたつみです。
立秋もとっくに過ぎ暦の上では「秋」なのにまだまだ猛暑の「夏」まっさかり(-_-;)
これだけ気温も高いとなかなかお出かけもままなりません。。
来るべく撮影シーズンに向けてカメラのメンテナンスをこの時期にやっちゃいましょう!(* ̄0 ̄)/ オゥッ!!
そして根強い人気に支えられている「Theマイナー機種列伝」!
第6回目のマイナーさんは 「コンタックス137MD」の巻です。
【ツアイスの悲願】
今回の主役「137MD」は世界に衝撃を与えた新生「CONTAX」の第3号機として誕生しました。
少し時計を戻して、1973年夏。
世界最高峰の光学性能を誇っていた西ドイツ(当時)のカールツアイス社。
しかしその名声がありながらも彼らを大いに苦慮していました。
それは、その性能を思う存分活かすためのカメラボディの自社生産を、コスト高や競合他社(主に日本製品)との価格競争もあり前年に最後に手を引いてしまったからでした。
歴史的にも由緒があり、様々な経験と工夫から裏打ちされた高い技術力と有能な技術者を抱えながらも肝心の『箱』が無ければ手足も出ません。。
数々の崇高な設計図もまさに絵に描いた餅状態だった訳です。。
「これマジでやばくねぇ?!」とは言ってはいませんが、ともかく新しい箱。。いえいえカメラ開発を担えるパートナー探しが始まります。
いろいろな調査の結果白羽の矢が当たったのは日本の光学メーカー「ヤシカ」。
電子技術を得意とし、コストパフォーマンスの優れた商品を生産し、海外進出にも積極的であったヤシカはツアイスにとって打ってつけの相手。
すぐさま提携交渉がはじまります。
もちろんヤシカにとっても願ったり叶ったりの良い話(^^)v
素早く交渉成立!新しいカメラシステム発売にむけての極秘プロジェクトが開始され数々の課題もあれよあれよ(ってそんなに簡単ではなかったでしょうが。。)と解決し、1年後にケルンで開催されたフォトキナーにおいて世界にお披露目される事になります
ブランド名は『CONTAX』
掲げたコンセプトは『リアル・タイム・システム』
その頭文字を冠した新型一眼レフ『RTS』は、デザインをポルシェ・ボディ製造をヤシカ、そしてレンズはツアイスがそれぞれ担当する事や、1年後に発売する計画が発表されました。
フォトキナーの話題はこの話で持ち切りになったのでした。
【勢いは大事】
してやったりのツアイス(&ヤシカ&ポルシェ (^^;)
75年11月にプロ用モデルとしてそのRTSを世に放ち、その後しっかりと足場を築きつつ79年4月にベーシックモデルとして「139クオーツ」を2号機として発売。
ブランドとしての確立を図ります(プロはRTSでアマは139でファイナルアンサー!的な。。(笑)
ちなみにこの139はRTSをまんま小さくしたフォルム(某自動車メーカーの何とかミニ的な。。)に回路に水晶発振子(クオーツ制御)を搭載し高精度をアピール。
これらの事で人気機種となります。マジすげえ~ぞツアイス(&ヤシカ&ポルシェ (^^;)
僅か5年でここまでの成果が出るとはホンマに勢いって大事です!(笑)
これに気を良くしたかどうかは知らんけど。。
翌1980年に3号機「137MDクオーツ」を発売する運びとなります
【素早く良質な】
新生コンタックスの3番バッターとして登場した137MDクオーツ。どのようなカメラだったのでしょうか。
先ずは基本スペックから。。
発売年月:1980年 5月
・型式 電子AE露出制御式35ミリ一眼レフ
・マウント コンタックス/ヤシカマウント
・シャッター B・11-1/1000
・電源 :1.5V単三4個使用
・寸法 幅143mm 高92.5mm 奥行51mm
・質量 590g(電池除く)
・価格 87,000円
機能的にはその時代としては極々普通のカメラ。。
しかしこのモデルには『素早く良質な写真を撮影する』といったミッションが掲げられていたと伝わっています。
先ずは撮影にあたり絞り優先専用とした事!
なのでシャッターダイヤルはありません(^^;
手間のかかる露出決定をAE化する事でその煩わしさから解放!てな訳です。
さらに当時ほとんど採用されていなかった自動巻上機構を内蔵化した事! モーターにより手早く巻上が完了されるのでシャッターチャンスを逃さない。。
ライバルメーカーでは小型・軽量を歌い文句に新製品を送り出していた頃にむしろデカい!そのフォルムはかえって注目を浴びます。
それは別体式のワインダーを取り付けるよりもかえってコンパクトじゃね?とと言った好意的な評価と何と言ってもデザインは流石のポルシェ!
そしてレンズは世界の名品ツアイスレンズ!
でもってヤシカ自慢のクオーツ制御!
話題にならない訳がない!(いつものお約束!(笑))
いままでのどれとも似つかわない機能とフォルムで注目を集めます。
しかしコンセプトは良かったのにネックとなったのはその価格。。(-_-;)
他社製品と比べるとやはり割高感は否めませんでした。。コスパを掲げたはずだったなのに~。
【最後に。。】
高い理想とはうらはらにその価格が足を引っ張る形となった137MDクオーツ。
マニュアル露出を搭載しなかった事を裏目に思ったのかは分かりませんが発売開始から2年後に早くも後継モデル137MAクオーツが発売されます。
見た目もよく似た両機でしたがすっかり弟機にポジションを奪われてしまいます。
当時の勢いに乗れなかった137MDクオーツ。
出来栄えは良かっただけにこれまた悲運の名機となってしまいましたが市場のニーズを掴むために何をすべきかを作り手サイドが考えるきっかけとなった事は事実でしょうね
(了)