Leica ズミルックス M 35mm F1.4について

こんにちは。神戸元町店の清水です。

今回は、個人的に思い入れのあるライカレンズ・ズミルックス M 35mm F1.4についてお話していこうと思います。

【ズミルックス M 35mm F1.4に関する思い出】

ズミルックス M 35mm F1.4は、開放時のにじんだ写りやフレアーが特徴のレンズです。製造開始は1960年からだそうです。

このにじみは1990年の非球面レンズを2枚採用したズミルックス M 35mm F1.4 ASPHERICAL(コード11873)で改善されました。

しかし、非球面レンズが手磨きのため製造本数が伸びず、1994年に機械製造の非球面レンズ1枚に変更したズミルックス 35mm F1.4 ASPH.(コード11874)が発売されました。

という講釈は何も知らない私は、とある鉄道雑誌の月間コンテストで金賞をとられた夕方の駅待合室のスナップ写真の写りに強烈に魅せられ、その機材データのレンズがライカのズミルックス35ミリF1.4だったというのがライカとの関わりの発端でした。

しかし値段が高すぎ、そこで話は一旦終わってしまいます。

後に一眼レフと違って手軽に持ち歩けて撮影時もかまえが気にならないコンパクトカメラに興味が向き、最初にリコーのR1を手にしました。

このカメラ、DXコードが1/3ステップと大衆的コンパクトカメラでありながら侮れないスペックを持っておりました。コダクローム64が使える・・・。

直後リコーは高性能レンズを搭載した高級コンパクトカメラGR1を発売。

R1のプログラムAEに加えて絞り優先AEと露出補正機能が搭載されマニュアル的要素が加わった機種でかなり期待しましたが、カメラの判断するピントと適正露出が把握できず使いこなせませんでした。

自分の思い通りに動かせるコンパクトカメラってないの? ニコンFM2みたいな」と考えた先にあったのが、あの高額のM型ライカでした。

若気の至りで手にしたのは、新品現行のM6とズミルックスM 35mm F1,4 ASPH.。

終始カメラを触っているわけではないのでとりあえず使えるようになるのに半年以上かかりました。

その中の1枚

絞りを解放にして、フレアーがどのくらいかな? と思っていたのですが……。期待外れでした。

はっきり写りすぎている……。

逆に、これはこれで流石ASPH.。問題となっていたフレアーが見られません。

もはやあの写りは手にできないのかと思っていた時に眼にしたのが「新品特価品」「SUMMILUX-M 1:1.4/35mm」と記されたレンズの白箱。

開けると中に入っていたのは小さなチタンのレンズ。
コードは11860。M6チタンの発売でブラックのレンズをチタン仕様にして発売されたモデルです。

これではないのか。探していたレンズは……

外観はレンズ先端からマウント面下での長さは約2.8cmとASPH.より1cm以上短いコンパクトさ。
さらにこれは間違いないと思わせたのが同梱のアンティークなデザインのキノコ型フード

数が限定だったためためらいましたが購入。

その写りは……。
ハイライトのフレアーや全体のにじみ感。この写りを探していました。

トワイライトでこれだけ出ていてくれたらコントラストの強い夕方の光景は期待大です。

1990年代後半のお話でした……。

【高画素機で写りを見てみる】

では、このレンズは現在のデジタル写真画像の世界でどのように写るのでしょうか。

ソニーのα7R IV(約6000万画素)につけてみます。
絞りf1.4で撮影

真ん中を拡大

左端を拡大

暴れ玉」といわれるだけに見事な暴れっぷりです。

しかし絞り込んでみると・・・
絞りf11で撮影

真ん中を拡大

左端を拡大

同じレンズとは思えないくらいの描写です。6000万画素のセンサーにも負けていません。

【作例】





【感想】

絞り開放時のぼんやりした独特な描写も魅力ですが、絞りこんでいくと素晴らしい解像力を発揮してくれます。

現在の高画素ミラーレスカメラで使用しても負けないほどの質感描写と結像力を持ったレンズです。

逆にカメラの方がこのレンズの知られざる性能を引き出しているようにも思えます。

まさに時代を超える銘玉と言っても過言ではないでしょう。