カメラ今昔物語 【オリンパス OM30編】

こんにちは! 心斎橋本店のたつみです。

2024年も瞬く間に時が過ぎ、新しい年がスタートします!

振り返ると例年以上に夏が長く、また秋らしい季節はほんの僅か。。気が付けば絶賛冬真っ盛りとなっています(苦笑)

北風もバンバン吹きまくっていますが、冬だからこその撮影シーンがあります。

コタツで丸くなっていないでカメラを持って出掛けましょう!(* ̄0 ̄)/ オゥッ!!

さて、一部の熱狂的ファンが居てるとの噂がある『Theマイナー機種列伝』今回もやっていましょう!

第7回目のマイナーさんは 「オリンパス OM30」の巻です


【「夢」の実現に向けて】

写真機の発展の歴史は、撮影者のあくなき欲求に応えるように様々なカメラメーカーが凌ぎを削り切磋琢磨して、技術進歩を成し遂げてきた道のりであると言えます。

その中には後世に語り継がれる事になる大発明が存在します。

一眼レフ・自動巻き上げ・自動露出 などなど。

これらの機能のおかげで写真機はより身近に親しみやすくなってきました。

その中で一番の大きな壁として立ちはだかったのがピント合わせ

この自動化については、世界でも指折りのトップメーカーでさえ頭を抱える難題であった訳です。

様々な試作が試みられる中で一つの道筋が現れて、それが各社に拡がっていきます。それが「フォーカスエイド機構」です。

本体内に測距用のセンサーを組み込む、正に現代のカメラに通ずる仕組み。

ピント合わせは従来通りに手でレンズヘリコイドを回転させてセンサーでズレ量を測り、合焦位置をシグナルで知らせるまさに画期的な方法!

全くの初心者でもこのアシスト機能により撮影のハードルが下がると考えた訳です。

偉いぞ最初に発明した人!(笑)

世界がド肝抜かれる「αショック」の正に数年前のことでした。

各社がこぞって参入する中で。。

大きな夢に向かって先ずは足がかりを得たカメラメーカー各社。

その一翼を担っていたオリンパスもこのアイディアを採用します。

当時のオリンパスは他社とは一線を画し、独自の思想に基づくカメラ開発をしていました。

「小型、軽量でありながら高性能」

デカくて重いが大名刺であったカメラの概念を覆すコンセプトは多くの写真家の支持を得て、それがアマチュアカメラマン達の間に広まっていきます。

OMシリーズの誕生です。

さらにオリンパスは1979年にシリーズの裾野を広げるように普及機を発売します。

これまた大ヒット商品となったのが「OM10

基本絞り優先オート機ながら別付けのアダプターを備える事でマニュアル露出を実現できるという秀作!

往年のアイドルを用いたCMも超話題となりシリーズ人気は盤石となります。

しかし時代のニーズは待ってはくれません。

さらに素早く写真が撮りたい!

どうするオリンパス(てか技術陣(^^;)

まず手掛けたのがOM10の後継モデルの開発。

マニュアルアダプター自体の発想はユニークだったものの、わざわざ別体式にしなくても良いんじゃね?と誰かが言ったかは知りませんが、後継モデルは当初からマニュアル露出が出来るようにします

そうして1982年10月に「OM20」が発売されます(”特徴の無いのが特徴”と言われることも。特徴が無いって。。ホンマに可哀そうなOM20。。(苦笑))

しかしその僅か1ケ月後の11月、当時話題の機能となっていたフォーカスエイドを搭載した「OM30」を立て続けに販売開始!

つまりOM20と30は同時開発の双子の兄弟機種だったのでした。スゲぇ~ぞオリンパス!(てか技術陣!! ※2度目)

当時は製品毎にキャッチフレーズを与えるのが流行っておりOM30には「ZERO-IN FOCUS(ゼロインフォーカス)」と付けられました。

ちなみに。。
OM20は「直感写撃」「意識はプロフェッショナル」だったことを付け加えておきます(^^;


【どこよりも本気に】

当時の最先端の機能を搭載し世に放たれたOM30。どのようなカメラだったのでしょうか?

先ずは基本スペックから。。

発売年月:1982年11月
・型式 35ミリフォーカルプレーン電子合焦装置内蔵自動露出制御電子シャッター式一眼レフ
    (長い。。(-_-;))
・マウント オリンパス OMマウント
・シャッター B・2-1/1000
・電源 :1.5V SR44またはLR44 5個
・寸法 幅135mm 高84mm 奥行50mm
・質量 430g 
・価格 62,500円(ブラック+2,000円)
※上記は当時の製品カタログより参照

露出モードは絞り優先AEとマニュアル露出

当時の最先端モードのプログラムAEは入ってません(そりぁベースがOM20だから仕方ない。。(^^;)

外装には主流になりつつあったエンジニアリングプラスチックを採用。

従来のOM一眼よりも幾分か大きく感じられるもののプラスチック化のおかげで軽量化を実現しています。

軍艦部が非常にシンプルなのはオリンパスの特徴。

巻き上げノブの外周に大型のスイッチを分かりやすく配置し、AE⇔マニュアルもスムーズに切り替え可能。

方や右側にはこれまた伝統に露出補正ダイヤルを配置。

普及機としては珍しく1/3段刻みでの補正を可能としています。
また従来レンズマウント上部に配置されていたシャッターダイヤルは前側左に移設しています(OM20は従来どおり。。)

そして何よりOM30の最大の特徴はフォーカスエイド

ファインダー内のLEDシグナルにより前ピン⇔合焦⇔後ピンが表示されます。

てかこれはライバルメーカーもやっていた事なのでそれなり的な感じなのですが、オリンパスは一味違います。

OM30にモータードライブ(またはワインダー)を装着し、インフォーカストリガーコードと呼ばれる接続コードで本体前部接点とモードラを連結すると、ピントが合焦したら即座にシャッターが切れる仕組みを開発!

さらにズイコーAF35-70/4を組み合わせる事でAF撮影をも実現!

一歩ところか三歩ぐらい前にいく機能の数々!

さぁ~皆さんご一緒に。。

話題にならない訳がない!!(ご唱和ありがとうございます(笑))

いよいよ新時代の幕が開くようにも思われ、一気に注目の的になりかけます。。

しかし、そうやすやすとは事は運びません。。

機能としてのニーズはありながらも、AFに至ってはまだまだ黎明期。。

「全然手動で回した方が速い!」だの「ピントは鍛練するもの!」だのが幅を利かしていた昭和まっさかりの時代。。(-_-;)

さらに中途半端に電池5個って何なん?とかまで言われる始末。。

画期的な機種でありながら徐々に陽の目を見ない立場に追いやられていきました。

【最後に。。】

AF一眼がまだ世の中に存在しない頃、現在までも続く機能を先駆けて搭載したOM30。

消費者を納得させるだけの技術が追いついておらず花道を歩けなかった名機。

意欲的発想と出来栄えに賞の一つでも取れそうな感じがまさかの無冠。。

商品年表によればOM20共々1987年頃までは製造されていたそうですが詳しくは不明。。

おそらく生産数も多くなく今となっては希少なカメラとなりました

(了)


【あとがき。。】

当時中学生だった筆者がカメラショーでOM30を初めて触った時は衝撃的でした。

某国民的アニメの主人公が如く「こいつ動くぞ!!」と心の中で絶叫したのは今でも忘れられません(笑)

しかし、ほんとうに最近は見ることが無くなってきました。

まず動いている完動品が少ない! でもってAFレンズ付きなんてもっと少ない!

さらにトリガーコードが付いているなんて国宝級!(ちょっと言いすぎ)

お持ちの方がいらっしゃいましたら是非ご一報ください!(笑)